940:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/07(木) 22:44:01.85 ID:1AQJe9pWo
「何で? そういうこと聞くの玲菜にしちゃ珍しいじゃん」
「そうかな? 別にそうでもないでしょ」
玲菜が少し赤くなった。
「ひょっとして玲菜って結城先輩が好きなの?」
ぶんぶんという音が出そうなほど玲菜は首を横に何度も振った。
「違うよ。そんなんじゃないって。それにあたしは麻季の恋の邪魔なんてしないよ」
「別にあたしだって好きとかそういうんじゃ」
「ふふ」
珍しく言葉を濁した麻季を見て玲菜は微笑んだ。講義が始まったこともありこのときの
話はそれで終った。
その後キャンパス内で何度か結城先輩を見つけた。先輩は男と二人で歩いている麻季の
ことを何気なく見つめていたみたいだった。それでも麻季にとって腹立たしいことに結城
先輩は彼女には一言も声をかけようとはしなかった。この頃、麻季は三回生の鈴木先輩に
言い寄られていた。彼への気持ははっきりしなかったけど、それでも他の男に向ける気持
とは少し違う気持を抱き始めていた。何より彼といると周囲の女の子の視線が彼女の優越
感をくすぐる。それでも麻季は鈴木先輩と一緒にいるよりは玲菜と一緒にいることを選ぶ
ことが多かった。男は鈴木先輩に限らずいっぱいいたけど、女友だちは玲菜くらいしかい
なかったし。
そんなある日、麻季は結城先輩が女の子と親し気に話をしているところを目撃した。何
か心の芯がじわじわと痛んでくるような感覚が訪れて彼女はそのことに狼狽した。
結城先輩と一緒にいる子は陽気な可愛らしい感じの人だった。単なる知り合いという感
じじゃないなと麻季は思った。
「結城先輩だ」
一緒にいた玲菜がそう言った。そして少し残念そうに話を続けた。「やっぱり神山先輩
かあ。何かいい雰囲気だね、あの二人」
麻季は少しだけ心が重くなるのを感じた。別に彼のことをはっきりと好きというわけで
はないのに。
「神山って誰?」
「二年の先輩。何かさ、結城先輩と幼馴染なんだって」
「そう」
「やっぱり結城先輩と神山先輩と付き合ってるのかなあ。まあお似合いだよね」
自分の心の動きはそのときにはさっぱりわからなかった。それでも麻季は冷たく言った。
「全然似合ってないじゃん。結城先輩はあの人のことを全然好きじゃないと思うよ」
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