943:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/07(木) 22:49:46.04 ID:1AQJe9pWo
失敗したその日のことの出来事を麻季は玲菜にも誰にも言わなかった。でも鈴木先輩は
そんな彼女の様子がいつもと違うことに気がついたらしい。麻季と二人でキャンパスを歩
いていた鈴木先輩は彼女を責め始めた。
「麻季さあ、おまえ浮気してるだろ」
「浮気? あたしは別に先輩と付き合っていないし、浮気とか言われてもわかんない」
「ふざけんなよ。キスまでしておいて付き合ってないってどういうこと?」
「先輩が勝手にしたんでしょ。あたしは知らないよ、そんなこと」
「・・・・・・まあ、いいや。今日のところは許してやるよ。それよかさ、これから遊びにいか
ね? 今日はもう実習はないんだろ」
麻季がその誘いを断った瞬間、鈴木先輩の手が頬に飛んできて彼女は地面に倒れたのだ。
下から眺め上げると、鈴木先輩に詰め寄る結城先輩の姿が見えた。結城先輩が何か話す
と鈴木先輩はみっともなく言い訳しながら去って行ってしまった。このときが麻季が初め
て結城先輩への愛情を実感した瞬間だったかもしれない。
「君、大丈夫?」
結城先輩が倒れている麻季に手を差し伸べた。そのときの彼女はきょとんした表情を浮
べていた。
「怪我とかしてない?」
「……先輩、神山先輩と別れたの?」
麻季はこのとき一番気になっていたことを聞けなかった。その代わりに二番目に気にし
ていたことを口に出した。
「何言ってるんだよ。そんなこと今は 関係ないだろ・・・・・・。君の方こそ彼氏と喧嘩でも
したの?」
「彼氏って誰のことですか?」
結城先輩はとりあえず麻季を学内のラウンジに連れて行った。
「ほら、コーヒー」
「ありがとう。結城先輩」
麻季は暖かいコーヒーの入った紙コップを受け取った。それからようやく麻季はさっき
の先輩のことを話し始めた。
「よくわかんないの。でも一緒に歩いていたらこれから遊びに行こうって誘われて、講義
があるからって断ったら突然怒り出して。付き合っているのに何でそんなに冷たいんだっ
て言われた。あたしは別にあの先輩の彼女じゃないのにおかしいでしょ?」
結城先輩は何か考え込んでいる様子だった。
「神山先輩と別れたの?」
麻季が聞いた。何でそんなことを突然口にしたのか自分でもわからなかったけど。
「別れるも何も付き合ってさえいないよ」
「・・・・・・先輩?」
そのとき、結城先輩はいきなり麻季の髪を愛撫するように触った。先輩は急に声を出し
て笑った。髪を撫でられながら麻季は微笑んで言った。
「結城先輩、やっぱりあたしのこと好きでしょ」
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