980:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/13(水) 22:55:17.66 ID:kDGj/IPLo
その後、多忙であまり家にはいないながらも遅く帰ってきても麻季と奈緒人のことを気
遣う博人に対して、麻季はしてしまったことに罪悪感を感じた。幸運なのか不運なのか、
産後の麻季の体調を気遣った博人が麻季を誘うことはなかったので、表面上は二人は今ま
でどおり仲のいい夫婦のままだった。
あんな声に従って博人君を裏切るなんて、何て馬鹿なことをしたのだろう。麻季は後悔
したけどしてしまったことはもうなかったことにはできない。それでも麻季の浮気なんて
夢にも疑っていない博人は相変わらず優しかったし、麻季も自分の過ちをだんだんと忘れ
ることができるようになった。
それでもやはりその日は訪れた。
ある夜、奈緒人が寝入った後の夫婦の寝室で、博人は出産以来久し振りに麻季を抱き寄
せて彼女の胸を愛撫しようとした。このときの麻季は自分の不倫を忘れ、博人の愛撫に期
待して身体を彼に委ねようとした。
『ほら、ちゃんと拒否しないと』
最近聞こえてこなかった声が麻季に言った。
博人は麻季をこれまでより強く抱き寄せて彼女にキスしながら手を胸に這わせ始めてい
た。
『やだよ。久し振りなのに断ったら博人君傷付くと思うし、それにあたしだって・・・・・・』
『君は博人と違って先輩とセックスしたでしょうが』
『あれはしたくてしたんじゃないし! それに気持悪いだけだった』
『そうだね。そんな思いまでして先輩に抱かれたのには目的があったからだ。今さらそれ
をぶち壊す気なの』
『・・・・・・だって』
『ここで頑張らないと、先輩と寝たことは単なる浮気になっちゃうよ。さあ、疲れてるか
らそんな気分になれないって博人にいいなよ』
博人の手に身を委ねてい麻季は彼の腕の中から抜け出した。
「・・・・・・麻季?」
初めて見るかもしれない博人の傷付いているような表情に麻季は胸を痛めた。
「ごめんね。何だか疲れちゃってそういう気分になれないの」
「いや。僕の方こそごめん」
「ううん。博人さんのせいじゃないの。ごめんね」
一度博人の腕から逃げ出した麻季は再び彼に抱きついて軽くキスした。
「もう寝るね」
「うん。おやすみ」
本当は麻季の方が泣きたい気持だったのだ。
1002Res/1204.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。