過去ログ - 【聖杯戦争】やる夫はステゴロワイヤーアクションで戦うようです
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11: ◆ylCNb/NVSE
2012/08/29(水) 01:00:48.80 ID:I1Z6pX9g0

 真紅も同意見だった。アインツベルンは錬金術の研究に逞しいが、当主がホムンクルスであったり、
間桐も何代も同じ人物が実質上の当主を務めていると聞き、まともな連中ではない。

 失礼したが、このような気風がアメリカ人の魔術師には恥ずかしながら往々にあるものだ。
ヨーロッパへのひがみとでもいうのだろうか、古いことをことさら自慢する連中や、
自分たちを貧しい移民と憐れむ連中の顔が、どうしても浮かんでしまうのである。

 しかし、今の我々は全く聖杯戦争がどんな儀式なのかさえ知らないままだった。
それにもまして、私たちは伊勢に向かわなくてはならないが道が分からなかった。

 しるべの役となる粉で探すには余りに荷が重すぎる。
そこで私は貿易の仕事で付き合っているニッポンの商家を訪ねることにした。

 商売の相手と一度も顔を合わせないのも礼を失するだろうと思うので、
是非とも今度、ニッポンでお会いしたいと約束を交わしていたのである。

 待ち合わせの水茶屋で会合した《詠鳥庵》の主、蒔寺氏は健康的な褐色の肌をした、
ニッポン人とは思えない健康な体つきの壮年の紳士だった。

 蒔寺氏は私が”関西弁”で話すことに驚いたらしく、言葉を操る油の失敗ではないかと疑ったが
氏の忙しい早口に付き合ううちに、言葉の不安は消え去っていた。

 ニッポンは年の初め、3月に「昭和恐慌」と呼ばれる大不況に喘いでおり、
先の23年には「関東大地震」が起こって、世界大戦の好景気がすっかり冷え込んでしまった。

 何より皇帝である大正天皇が去年に崩御したあとであり、時代に不吉な予感を感じる
ニッポン人は少なくなかったのだ。



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