過去ログ - 【聖杯戦争】やる夫はステゴロワイヤーアクションで戦うようです
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57: ◆ylCNb/NVSE[saga]
2012/09/03(月) 09:56:34.16 ID:7ECcEwQ80

 「ほうほう、俺(わし)のすごさがお分かりか、”ますたあ”様よ」
自分の力量を十分に認めさせたことで、アーチャーは満足したらしい。

 「だが、この程度で驚いてもらっていては少々、興ざめじゃのう。」
今日一日でもっとも険しい表情に転じた好々爺は頭上に向けて七度、矢を放つ動作を繰り返した。

 口腹で8つを数える程の時が立ち、青い空に21の黒い影がようやく見えるまでになった。
さらに4つを数えるほど時が経つと、黒い影が人間より大きな生き物だと僕の目にもわかるようになった。

 アーチャーが矢を放って実に数秒後、どうと21の得体の知れない化物が地に落ちた。
黒い肌はまるで昆虫のようにぴかぴかと光り、アリのようなハチのような姿をしているが、
人間のようにも見え、こんな奇妙な動物が日本の空には飛んでいるのか、と驚かされた。

 「使い魔かのう」と射抜いた本人も正体を解しかねている様子だ。
魔術師の僕でさえ、これが何者なのか判断できない。見たこともない霊獣か、
あるいは”死徒”の一種、英霊の宝具かも知れない。

 「飛んでいた高さは?」と僕が尋ねると
「落ちるまでの時間を計算するとざっと5kmぐらいかのう」とアーチャー。

 飛行機という発明品が世界大戦で活躍したという。
もっとも魔術師はそれよりはるかに前から空を己の領域としてきたが、
そんな高さを飛ぶことが、果たしてどんな力の助けでできるのだろう?

 だが間違いなく、この生き物は魔術師が使い魔として放ったものに間違いない。
おそらくアーチャーの今日一日の行動を、つぶさに観察していたのだ。

 「アーチャー、気づかなかったのか?」と僕が問い詰めると、ほうほうと微笑んで、
「俺(わし)の技は隠すよりも、知られておいたほうが良いと思いましてな。」と答えた。

 呆れた。ずっと監視の目があることを気づきながら、この英霊は自分の技前を気前よく披露したのだ。
しかしそれでも一理ある。アーチャーの技の冴えを見て、おいそれと向かってくる敵は少ないはずだ。

 どれほど強力な英霊であっても、連戦すれば消耗する。弱点もその中でほかの
サーヴァント陣営に漏れ出す危険もある。いかにアーチャーが弓の仙人であっても、
普段は禁物といえるだろう。

 さしずめ、今日の敵はしばらくは対策を練るか、攻撃を見合わせたはずだ。
さすが戦国時代の英霊。撃たずにして撃つと言わしめた弓使いだ。
戦わずに勝つということを十分に心得ている。

 余談だが、僕がアジトに帰って鏡を見ると、全てのまつげと眉毛が失われていた。
アーチャー曰く、この一日の散歩の間に、隙を見て全て撃ち落とした、という。



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