19: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:25:06.10 ID:kQdfAHEF0
咄嗟に席を立った。最早条件反射といってもよい。
「あ、違うんです折木さん。携帯電話のことで聞きたいことがあって……」
その後の古典部の活動は、千反田に携帯電話の使い方を教える時間となった。メール、電話、カメラといった基本的な事項を教え終わったころ、完全下校のチャイムが鳴る。
「帰ろうか」
誰ともなしに呟いて、俺たちは学校を後にする。
―――――――――――――――――
「なんだと」
件の本屋の前で、俺は驚愕していた。なんと夜中の内に、飲酒運転の車が本屋に突っ込んだそうなのだ。「KEEPOUT」の黄色いテープが張られ、当然中に入ることは無理である。
ガラスの破片こそ目立たないが、細かいものは道路に散乱している。シャッターで店内を確認することはできない。恐らく酷い有様なのだろう。
「どうしたもんか」
手の中の銀色を見やりながら言う。このままでは一向に持ち主の元へと戻らない。
待てば電話でも本人から来るだろうと思っていたが、それもない。気づいていないということは考えにくいから、恐らく用事がある也で忙しいのだろうが、早く取りに来てほしかった。でないと俺が落ち着かない。
やらなければいけないことは手短に。拾ってしまったものを今更捨てるのも後味が悪い。これはやらなければいけないことだ。
だが、思ったより手短にできないとは……。
俺は踵を返した。どうしようもないなら、どうしようもないのだ。
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