過去ログ - 奉太郎「守りたいもの」
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9: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:29:30.93 ID:y3939tJH0
 ふと俺が入ってくるときの出来事を思い出す。これは恐らく、あのどちらかのものだろう。
 中身を見れば持ち主のプロフィールもわかるだろうが、さすがにそれはプライバシーの侵害だ。自宅の電話番号くらい入ってそうなものだが、はてさて。

 店員に渡すのが妥当と判断し、店内へと戻ろうとするが、ちょうど子連れがこちらに向かってくるところだった。母親らしき人物の両隣りに、男の子と女の子。通路一杯の幅を使っている。
 半ば押し出されるような形で、俺はなんとなく店外へ出てしまった。なんだか戻るのも躊躇われて、
以下略



10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:31:51.34 ID:y3939tJH0
――――――――――――

 俺の学校の生徒が襲われたらしい。
 その話を聞いたのは、朝のホームルーム、担任からだ。昨晩、塾から帰る途中のできごとだという。

以下略



11: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:34:11.97 ID:y3939tJH0
「怖いな」と、特別棟四階の端、神山高校の辺境、地学準備室で俺の隣に座った里志はそう言った。

 里志は口ではそう言っているものの、表情はにこやかだ。まさか自分が被害者になるわけがないというような。
 それはある種一般的な反応だ。俺だってまさか矛先が自分に向くとは思っていない。

以下略



12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:43:16.98 ID:y3939tJH0
「どうした、千反田」

 俺は伊原の隣でかちゃかちゃとやっている千反田に声をかけた。

「あっ、すいません」
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/03(月) 22:57:52.03 ID:vt8ebQebo
続けてください


14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 23:06:36.75 ID:RP1Kzn930
 いや……。そういえば。
 俺はポケットからそれを取り出す。昨日偶然拾ったそれを。

「俺も持ってるんだ」

以下略



15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 23:07:26.08 ID:RP1Kzn930
「いやいや、いいんだよ。お二人とも、お幸せにね」

「だから、そんなことはなくてですね――折木さんも何か言ってくださいっ」

 慌てて弁明する千反田などそう易々見られるものではない。俺はもう少し見ていたかったが、助け舟の要請が来た以上、応じなければなるまい。
以下略



16: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:15:27.00 ID:kQdfAHEF0
「千反田さん、ケータイの登録はしたかな?」

 思い出したふうに里志が言う。
 携帯電話の登録? 自転車の防犯登録みたいなやつか?

以下略



17: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:16:22.21 ID:kQdfAHEF0
「あの、福部さん。携帯電話の登録ってなんでしょうか?」

 おずおずと千反田が尋ねる。

「総務委員会の仕事なんだけどね。最近はほとんどの学生が携帯電話を持ってるし、持ってきている。もちろん校則違反ではあるけど、先生たちだって見て見ぬふりだ。
以下略



18: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:20:44.32 ID:kQdfAHEF0
「最近の携帯電話ってのは多機能なんだよ、ネットにつなげたり、カメラもついてる」

「それくらいわかる。バカにするな」

「ごめんごめん。で、千反田さん、登録はしてないみたいだね」
以下略



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