22: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:30:32.10 ID:kQdfAHEF0
「……」
「……」
そのまま十秒もたっぷり待って、慌てて千反田が立ち上がった。
23: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:31:27.25 ID:kQdfAHEF0
「……何がだ」
最早抵抗する気をなくした俺は、ならば可能な限り省エネにと、進んで千反田の先を促す。
「私はさきほど職員室に行きました。そしたら、福部さんがいたんです」
24: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:35:37.56 ID:kQdfAHEF0
「福部さんを見たのは私が渡り廊下を歩いているときでした。ふと下を見たら、福部さんが特別棟から出て、外を歩いて一般棟に入るのが見えたんです。私は職員室に行きました。そうしたら、福部さんの姿があって……」
「その時訊けばよかったじゃないか」
「福部さんは大きな段ボールを受け取っていたので、悪いかなと思ったんです。距離もありましたし」
25: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:58:42.32 ID:kQdfAHEF0
そうだ。特別棟の三階から一般棟の二階に行きたい場合、普通渡り廊下を使って降りていけばいい。わざわざ一階まで下りて、外に出て、また階段を上る必要はない。省エネ主義者でなくとも普通はそうする。
俺は暫し考え、思い付きを口にしてみる。
「普通に考えれば、特別棟の一階か、一般棟の一階に用事があったと考えるのが妥当、か」
26: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 16:00:32.03 ID:kQdfAHEF0
「じゃあ職員室に寄った後、また別のところに行った可能性があるな」
「ですが」
千反田は食い下がる。
27: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 16:16:33.36 ID:kQdfAHEF0
「納得できないか」
「あ、いえ! 決してそういうわけでは……。ただ、特別棟の二階以降か、一般棟の一階にある用事とは、どんなものなのか気になっただけで」
俺は目を瞑って後者の見取り図を思い出す。特別棟は下の階まできっちり部室になっている。もしかしたらいくつか空いている部屋もあるのかもしれないが、俺は知らない。
28: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 16:19:49.69 ID:kQdfAHEF0
「隠し事を暴き立てようという趣味は私にはありません。ありませんが、明らかに怪しい折木さんを見て、気にならないわけでもありません」
いつもよりは幾分か控えめに千反田は言う。それでも瞳は爛々と輝いていて、俺はその視線にいつもからめ捕られるのだ。
椅子に深く座り直し、俺は天を仰いだ。
29: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 16:21:58.48 ID:kQdfAHEF0
千反田は驚いたような、それでいて納得したような表情で俺の話を聞いている。
「里志は渡り廊下を使わなかったんじゃない。あいつはずっと図書室にいたんだ。職員室に行ったのは、まぁ、普通に用事があったんだろうな」
「……」
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)
2012/09/05(水) 18:23:49.87 ID:srY/BURAO
支援
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/09/05(水) 19:07:56.20 ID:2AOlmI4o0
おもしろい
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/05(水) 19:54:17.05 ID:6yscfFyuo
読んでるよ
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