過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/09/10(月) 22:06:52.48 ID:f2pJeNOlo

 けれど、そうしなければ前に進めないという場合がある。何らかの新しい展開を望むとき、痛みが不可欠な場合は往々にして存在する。
 あるいは、痛みや不愉快に耐えた先で得たものがまったくの徒労だったという場合もあるだろう。
 それならそれでかまわない。つまり本当のところ、この文章を書くことで僕が得たい結果とは、展開ではなくて納得なのだろう。
 これを記すことは、僕にとっては単なる記録で、整理でしかない。
 その結果何かが得られるかもしれないという「期待」はほんのささやかなものだ。
 たかだか文章を記す程度のことで何かが得られるはずだという、バカバカしい確信など持ち合わせてはいない。当たり前のことだ。 

 僕はあの一ヵ月のあいだにいくつかのものを失った。得たものは特になかったはずだ。
 徒労というのならば、あの一夏の出来事こそがまさしくそう呼ばれるべきだろう。
 けれど反対に、僕はあの出来事を通じて、本当のところ何ひとつ失っていないのではないかと感じることがある。

 現に僕はそれ以前とほとんど変わらない生活を送っている。 
 なついていた猫がどこかに行き、大事にしていたギターが盗まれて、たったひとりの友だちがどこかに行ってしまった今でも。

 中途半端な書き出しはよそう。何よりも順序が大切なのだ。

 前置きは十分すぎるくらいに長引かせた。ここからはあの夏の出来事を反芻しよう。
 あのむせかえるような夏のことを、可能な限り真摯に書き留めてみよう。
 混沌に支配された一ヵ月と少しの出来事を、可能な限り感じた通りに。




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