過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/12(水) 22:57:11.60 ID:rI6aBzuyo

 僕はそのメモを手に取る。拍子抜けしたような、肩透かしを食らったような気持ちになった。
 そこには何も書かれていなかった。白紙。

 そしてすぐに、その白紙のメモが、ひどくおぞましいものに思えた。
 白紙であるにもかかわらず、メモを残す。
 その行為の意図は読めないけれど、そこにはたしかな悪意的な意思が感じられた。

 僕はメモをぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。それから落ち着いてコーヒーでも飲もうと考える。 
 リビングに降りて、母に頼んでコーヒーを入れてもらう。
 僕はダイニングの椅子に座って全身の力を抜く。知らず知らず長い溜め息をつくと、姪が心配そうにこちらに駆け寄ってきた。

 僕は彼女の頭を撫でる。昔から、ついやってしまう癖のようなものだ。
 子供の頃は、何かをするたびに彼女の方から頭を差し出してきたものだが、近頃では子供扱いが嫌になったらしく、あまりいい顔をしない。
 
 それでも僕の手を避けるようなことはしなかった。そのことは少しだけ僕を安心させる。
 僕は少し考えて、そしてあのメモを残した誰かについて考えた。

 さっきまでの想像を続ければ、あのメモは大きなメモを持つことになる。
 気のせい、錯覚、見間違いでは済まされない。
 最悪の場合、この出来事は僕だけでなく、僕の家族にとっての危険にもなりうるのではないか。

 素知らぬ顔をして僕の部屋に忍び込み、何かの意思表示をした誰か。
 いったい、誰がそんなことをするというのだろう。

 コーヒーを飲んでも気分はまったく落ち着かなかった。
 さっきまでの漠然とした不安は、既に得体のしれない恐怖に変わっている。




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