過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/13(木) 17:27:07.01 ID:qpP07fyYo

◇六

 
 胸騒ぎに反して、すぐに何か具体的な異変が起こることはなかった。
 僕は相変わらず姪の相手をしながらバイトをして、長い夏休みを着実に消化していく。
 
 数日経つと、結局あの出来事は何かの間違いで、気のせいだったのではないかと思い始めた。
 人間の記憶なんて曖昧なものだ。ひょっとしたら僕はあの前日、ギターの弦を張り替えようとしたのかもしれない。

 ギターの位置が動いていたのだって、僕が気にしすぎていたのかもしれない。
 たとえばスタンドに上手いこと立てかけられずに倒れてしまったものを、母が気付いてベッドに寝かせた、とか。
 そういう可能性だってないわけじゃない。思いつきはしたものの、確認する気にはなれなかった。

 バイトのない日は姪の相手をして、付近で遊んだりもした。母の気晴らしに付き合って遠出もした。
 予定のない夜は勉強に使った。ときどき気分転換にギターを弾いたりした。
 弦を張り替えると、やはり何かの間違いだったのだという気分が強まる。

 けれど、心の奥の方に、しこりのような不安がかすかに残り続けていた。
 本当に、そんなふうにごまかしてしまっていいのだろうか、という不安が。




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