過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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589:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:42:59.20 ID:sIBdVn+so

 ケイくんは保健室の引き戸を開けた音でこちらに気付いたけれど、ちらりと一瞥した以上には何の反応も見せなかった。
 ファーストインパクトは最悪と言っていいと思う。彼のじとりとした視線は「よくも読書の邪魔をしてくれたな」と憤っているようにも見えた。
 でも反対に、ひょっとしたら彼はいつでもどこでも誰に対してもこんな態度なのかもしれないとも思える。
 彼は自分のそういう態度を好んでいた、というより、そういう態度を自分に強いていたように見えた。
以下略



590:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:43:49.57 ID:sIBdVn+so

 でも彼はわたしの表情を見ようともしなかった。じくじくとした痛みがお腹のあたりに宿った。
 胃腸のあたりから血が出ているんじゃないか? 体勢を変えようとすると引きちぎられそうな痛みがある。

 わたしはふと、子供の頃スイカの種を飲み込んだときのことを思い出した。
以下略



591:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:44:27.16 ID:sIBdVn+so

 彼が本を読む姿をぼんやり眺めていると、やがて養護教諭が慌てた様子で保健室に駆け込んできた。

「あれ、ごめんね。ちょっと探し物しててさ。どうした? 具合悪いの?」

以下略



592:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:45:20.31 ID:sIBdVn+so

「いいから早くその子をどうにかしてやってよ」

 うんざりしたように彼は言った。

以下略



593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:46:20.59 ID:sIBdVn+so



 
「人が笑う顔が苦手なんだよ」
以下略



594:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:46:47.15 ID:sIBdVn+so




 だから、わたしが目の前に現れても、彼は顔をしかめこそすれ笑うことはない。
以下略



595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:47:49.09 ID:sIBdVn+so

「何か面倒そうな感じがする」

 彼の勘はなかなかに鋭い。

以下略



596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:48:40.92 ID:sIBdVn+so



 ケイくんは部屋にわたしを招くと白くて丸い小さなテーブルの上でコーヒーを入れてわたしに差し出してくれた。
 ベッドの上にはニッパーとギターが転がっている。本棚にはギター関係の雑誌と教本とバンドスコアが入っていた。
以下略



597:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:49:25.24 ID:sIBdVn+so

 わたしは少しだけ不安になった。わたしは自分で思っているよりもずっと死に近付いているのかもしれない。
 連続性と妥当性の喪失。

「……うん、とにかく、ついてきてほしい」
以下略



598:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/24(土) 14:49:54.33 ID:sIBdVn+so

「分からないな」

 と彼は言った。

以下略



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