過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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830:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/05(土) 15:05:16.25 ID:Y3rLkBTKo

 魔法使いの魔法には、「イケニエ」のルールがあった。
 生贄は本来、願いを言って魔法を発動させた張本人の役目だ。だが、この魔法に“巻き込まれた人間”がいる場合はその限りではない。
“巻き込まれた人間”に、イケニエの役割を押し付けることができる。

 そこに目をつけたのが“彼”だった。
 彼の姪、の、未来の姿、である、僕の友人。そのまま放置すれば、彼女が未来で死んでしまうことに気付いた彼は、イケニエをささげることにした。
 そこに都合よく存在したのが魔女だ。

 魔女がなぜその場にいたのかという疑問に答えるのは容易だけれど、同時に困難なことでもある。
 彼女は常に不安定で流動的な心理状態にあった。
 どっちつかずなまま、自分で判断をくだせずにいた。

 でもそもそも――魔法使いの言によれば――彼女は途中から、自分をイケニエにすることを思いついていたのだと言う。
 自分が死ねば、自分にとって大事な“あの人”の“大事な人”の“未来の姿”が守れるかもしれない。
 魔女はそう考えた。

 彼女がそうまでして彼にこだわる理由が僕には分からなかったけれど、そこには僕の知らない何かが作用しているのかもしれない。
 あるいはそんなことは一切なく、ただ自棄になったような気持ちだけがあったのかもしれない。

 どちらでもいい話だ。憐れな魔女は“彼”に生贄になるように消極的に促された。彼女はそれを受け入れようとした。

 そこに僕が現れた。




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