過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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843:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/09(水) 13:10:55.08 ID:mi0scknjo

 男はごく平凡な人間だったという。
 二十代の前半くらいの歳で、くたびれたスーツを着て、ありがちな煙草をくわえていた。
 けれど、何か奇妙なところのある男だと、魔法使いは感じたらしい。

 男は家族を失っていた。父母は健在だったが、姉とその夫である義兄、そして姉の娘、姪を亡くしていた。
 だからどうというのではない。その死が、彼の生活に影を落としたというわけではない。
 
 死の形が一風変わったものではあったので、当時は多少の不利益も被ったが、だが、それもそれだけの話だ。

 男の願いはその死にまつわるものだった。
 元より不仲だった姉と義兄について、男は語るべき言葉を持たないようだったと魔法使いは言った。
 男が気に掛けたのは姉夫婦よりもむしろ、その娘の死についてだった。

 交流があったわけでもなく、愛情を抱いていたわけでもない。面識だって多くはない。
 そんな姪の死に、なぜ特別な感情を抱くことになったのか、男は自分自身で分かっていなかったという。
 



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