過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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2012/09/16(日) 04:30:41.41 ID:2r6A/1tO0
◇ ◇ ◇
千反田はすっかりしゅんとしてしまい、膝元に目線を落としている。俺は腕時計で時刻を確認した。一時前だった。
「さっき、お前は別れについてこう言ったな。「別れる時、その人が自分にとってどれだけ大事だったかを知る、大切な機会」だと」
「……はい、言いました」
以下略
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2012/09/16(日) 04:32:35.30 ID:2r6A/1tO0
千反田が息を呑むのが分かった。また、胸が疼くような感覚がした。
千反田は、どうして、別れを惜しむ人が一人なのかといぶかしんでいるのだ。どんな些細な思い出でも、共有した時間が二人にあり、一方がそれを懐かしく思うなら、もう一方もそうであるに違いないと。
「……すまんな」
「あ、そんなっ、折木さんが謝るようなことじゃありません!」
「だが、これでお前の疑問は解消された」
以下略
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2012/09/16(日) 04:36:11.86 ID:2r6A/1tO0
俺は奥歯で、唇の内側を噛んだ。
しばらく風が窓を叩く音だけが部室に流れていた。そのなかで俺の心臓は低く、ゆっくりと、けれど全身に響き渡るぐらい、大きく脈打っていた。
「……すみません。仕方のないことを、私は、折木さんに押し付けてしまいました。私は、遠垣内さんとは昔から面識があります。ですから、私が遠垣内さんの卒業を祝福すると共に、寂しいと思う気持ちを持つのは当たり前です。でも、折木さんは、私ではありません。
……ごめんなさい、折木さん」
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2012/09/16(日) 04:39:01.03 ID:2r6A/1tO0
「別に、ただ俺がお前ほど感傷的じゃない、それだけの話だ」
「いいえ、折木さんは、大切な人の思い出を蔑ろに出来る方ではありません」
はっきりとした口調で、千反田は話した。それは誤解だ、と否定したい。
俺は時折、彼女の真っ直ぐさを、純粋さを、直視できなくなる。千反田の愚直なまでの心根に、触れてはいけない気がして、自分に嫌気が差すのだ。
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2012/09/16(日) 04:39:57.01 ID:2r6A/1tO0
「ですから……あれ、では、やっぱり変です、どうして遠垣内さんだけで、折木さんにはその……感情が生まれていないのでしょうか」
堂々巡りの装いになってきた。これ以上は無限後退になりかねない。
「さあな。名前を間違えたんじゃないか」
「いえ、間違いなく折木さんとおっしゃっていましたよ。奉太郎、とまでは続けられていないので、もしかしたらもう一人、「折木」さんがいらっしゃるのかもしれませんが」
「別人、ねぇ。だが、恐らく折木はこの学校で俺だけだぞ」
以下略
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2012/09/16(日) 04:41:07.67 ID:2r6A/1tO0
ふと、俺は何か引っかかった気がした。もう一人の、折木。まさかとは思うが、いや、そうなのか……?
俺は前髪を指でつまみ、今まで上げてきた――実に適当だったが――仮説をまとめ始めた。
・一、俺が実は昔から遠垣内と知り合いだった
・二、俺が自覚の無いまま、実は俺が遠垣内に感謝されるようなことをした
・三、俺がこれからも遠垣内とよろしくする関係にある
以下略
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2012/09/16(日) 04:47:15.90 ID:2r6A/1tO0
眠くなってきた
ちょっと寝る
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2012/09/16(日) 05:28:13.76 ID:2r6A/1tO0
続き
「折木さん?」
あと一歩、確証が欲しい。遠垣内が、もう一人の「折木」にこだわっていた根拠となる手がかりがあれば――。
「里志だ!」
以下略
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2012/09/16(日) 05:30:36.83 ID:2r6A/1tO0
◇ ◇ ◇
俺は千反田と共に総務委員会のある会議室までやって来た。
会議室のドアをノックをする。
「ごめんくださーい」
以下略
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2012/09/16(日) 05:32:50.80 ID:2r6A/1tO0
「もう一人の折木さんについて知りたいんです!」
いきなり千反田が割って入ってきた。相変わらず言葉足らずな説明だ。案の定、里志は全く要領を得ない顔をしていた。
「もう一人のホータロー? ドッペルゲンガーでも見たのかい?」
「どっぺるげんがー?」
千反田が頭の上に疑問符を浮かべて首を傾げた。
以下略
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2012/09/16(日) 05:35:49.63 ID:2r6A/1tO0
「なんだか、怖い現象ですね……」
「ああ、怖い。もう一人ホータローがいるなんて、想像しただけで恐ろしいよ」
失礼な奴だな。
「折木さんがもう一人……」
千反田が天井を見上げて何やら想像し始め、突然ふふっと噴き出した。……何を想像したんだか。
以下略
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