過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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2012/09/16(日) 04:36:11.86 ID:2r6A/1tO0
俺は奥歯で、唇の内側を噛んだ。
しばらく風が窓を叩く音だけが部室に流れていた。そのなかで俺の心臓は低く、ゆっくりと、けれど全身に響き渡るぐらい、大きく脈打っていた。
「……すみません。仕方のないことを、私は、折木さんに押し付けてしまいました。私は、遠垣内さんとは昔から面識があります。ですから、私が遠垣内さんの卒業を祝福すると共に、寂しいと思う気持ちを持つのは当たり前です。でも、折木さんは、私ではありません。
……ごめんなさい、折木さん」
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2012/09/16(日) 04:39:01.03 ID:2r6A/1tO0
「別に、ただ俺がお前ほど感傷的じゃない、それだけの話だ」
「いいえ、折木さんは、大切な人の思い出を蔑ろに出来る方ではありません」
はっきりとした口調で、千反田は話した。それは誤解だ、と否定したい。
俺は時折、彼女の真っ直ぐさを、純粋さを、直視できなくなる。千反田の愚直なまでの心根に、触れてはいけない気がして、自分に嫌気が差すのだ。
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2012/09/16(日) 04:39:57.01 ID:2r6A/1tO0
「ですから……あれ、では、やっぱり変です、どうして遠垣内さんだけで、折木さんにはその……感情が生まれていないのでしょうか」
堂々巡りの装いになってきた。これ以上は無限後退になりかねない。
「さあな。名前を間違えたんじゃないか」
「いえ、間違いなく折木さんとおっしゃっていましたよ。奉太郎、とまでは続けられていないので、もしかしたらもう一人、「折木」さんがいらっしゃるのかもしれませんが」
「別人、ねぇ。だが、恐らく折木はこの学校で俺だけだぞ」
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2012/09/16(日) 04:41:07.67 ID:2r6A/1tO0
ふと、俺は何か引っかかった気がした。もう一人の、折木。まさかとは思うが、いや、そうなのか……?
俺は前髪を指でつまみ、今まで上げてきた――実に適当だったが――仮説をまとめ始めた。
・一、俺が実は昔から遠垣内と知り合いだった
・二、俺が自覚の無いまま、実は俺が遠垣内に感謝されるようなことをした
・三、俺がこれからも遠垣内とよろしくする関係にある
以下略
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2012/09/16(日) 04:47:15.90 ID:2r6A/1tO0
眠くなってきた
ちょっと寝る
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2012/09/16(日) 05:28:13.76 ID:2r6A/1tO0
続き
「折木さん?」
あと一歩、確証が欲しい。遠垣内が、もう一人の「折木」にこだわっていた根拠となる手がかりがあれば――。
「里志だ!」
以下略
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2012/09/16(日) 05:30:36.83 ID:2r6A/1tO0
◇ ◇ ◇
俺は千反田と共に総務委員会のある会議室までやって来た。
会議室のドアをノックをする。
「ごめんくださーい」
以下略
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2012/09/16(日) 05:32:50.80 ID:2r6A/1tO0
「もう一人の折木さんについて知りたいんです!」
いきなり千反田が割って入ってきた。相変わらず言葉足らずな説明だ。案の定、里志は全く要領を得ない顔をしていた。
「もう一人のホータロー? ドッペルゲンガーでも見たのかい?」
「どっぺるげんがー?」
千反田が頭の上に疑問符を浮かべて首を傾げた。
以下略
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2012/09/16(日) 05:35:49.63 ID:2r6A/1tO0
「なんだか、怖い現象ですね……」
「ああ、怖い。もう一人ホータローがいるなんて、想像しただけで恐ろしいよ」
失礼な奴だな。
「折木さんがもう一人……」
千反田が天井を見上げて何やら想像し始め、突然ふふっと噴き出した。……何を想像したんだか。
以下略
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2012/09/16(日) 05:38:21.75 ID:2r6A/1tO0
「ところで千反田」
「はい?」
「さっき何を想像したんだ」
訊くと、千反田は両手をわたわたと胸の辺りで振った。
「い、いえ、その、折木さんが二人いるのをイメージしたら、私の疑問に答えるのを押し付けあっているお二人の折木さんが思うい浮かんだもので」
以下略
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2012/09/16(日) 05:39:36.81 ID:2r6A/1tO0
「やあ、お待たせ」
そうこうしている内に里志が戻ってくる。
「どうだった?」
「うん、わかったよ。生物準備室は元古典部の部室だったんだよね。で、新しい部員が一昨年も去年も入っていないっていうんで、特別棟四階に移動させられたらしい」
「ああ、それは想像がつく」
以下略
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