10: ◆H5DcZ7AtN.[saga sage]
2012/09/25(火) 18:33:45.13 ID:S1wqPnyB0
「はい、それから今日は皆さんに転校生を紹介します。じゃ、暁美さんいらっしゃい」
何か、すごい入りにくいというか、なんというか……。ただでさえ、こんな大勢の前に立たなくてはいけないのに。
ただ、いつまでも入り口で突っ立っているわけにもいかないので、覚悟を決めて教室に入ります。
いち…に…さん…、たくさん。数えきれないくらいの目が私を見つめます。
病院の大部屋に入った時でさえ、10人を超えることはありませんでした。
そして、今はその3倍以上の人が目の前にいます。どんどん顔が赤くなっているのが鏡を見なくても判ってしまいました。
「暁美ほむらです…。よろしくお願いします……」
「暁美さんは心臓の病気でずっと入院していたの。久しぶりの学校だから、戸惑うことも多いでしょう
みんな、助けてあげてね」
さらなる視線が私に突きささり、思わず息をのみます。
そして俯いてしまい、顔をうまく上げられません。視線は迷子です。
どうにかして落ち着こうと、息を大きく吸って吐き、先生がさし示した席へ向かいます。
――頑張れ、私の心臓。自分のものではなかったそれに、応援すらしてしまいました。
休み時間に入って、お約束というか、所謂“質問”タイムが始まりました。
「暁美さんって前はどこの学校だったの?」
「部活とかやってた? 運動系?文化系?」
「すごい長い髪だよね。毎朝、編むの大変じゃない?」
「ぇ…ぁ、その……。私――」
そんなに一度に質問されても答えられません……。誰か助けてください。
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