過去ログ - 杏子「ホグワーツ?」
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54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:36:43.57 ID:eSSveo1wo
 さやかは巻尺が勝手に鼻の穴の間を測っているのにハッと気がついた。
オリバンダー老人は棚の間を飛び回って、箱を取り出していた。

「もうよい」と言うと巻尺は床の上に落ちて、クシャクシャと丸まった。

「では美樹さん。これをお試しください。ぶなの木にドラゴンの心臓の琴線。
二十三センチ、良質でしなりがよい。手に取って、振ってごらんなさい」

 さやかは杖を取り、なんだか気はずかしく思いながら杖をちょっと振ってみた。
オリバンダー老人はあっという間にさやかの手からその杖をもぎ取ってしまった。

「楓に不死鳥の羽根。二十センチ、振りごたえがある。どうぞ」

 さやかは試してみた……しかし、振り上げるか上げないうちに、老人がひったくってしまった。

「だめだ。いかん――次はトリネコ材とドラゴンの琴線。三十センチ、心地よくしなる。さあどうぞ試してください」

 さやかは次々と試してみた。いったいオリバンダー老人は何を期待しているのかさっぱりわからない。
試し終わった杖の山が古い椅子の上にだんだん高く積み上げられてゆく。
それなのに、棚から新しい杖を下ろすたびに、老人はますます嬉しそうな顔をした。

「難しい客じゃの。え?心配なさるな。必ずピッタリ合うのをお探ししますでな。……さて次はどうするかな……おおそうじゃ……樫の木と一角獣のたてがみ、二十六センチ、頑固」

 さやかは杖を手にとった。急に指先が暖かくなった。杖を頭の上まで振り上げ、埃っぽい店内の空気を切るようにヒュッと振り下ろした。
すると杖の先から青い音符が流れだし、メロディが奏でられた。ハグリッドは「オーッ」と声を上げて手を叩き、オリバンダー老人は「ブラボー!」と叫んだ。


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