7: ◆HvWr2kWl99Dz[sage saga]
2012/09/29(土) 01:32:21.68 ID:wzXOjhvP0
「……まさか、美樹さやか以外にも、巻き込まれた人間がいたなんて」
その事実もまた、ほむらを驚愕させた。
「ちょっとー、あたしが質問してるんだけど?ちゃんと答えて欲しいんだけどー?」
そんなほむらの様子に気分を害したのか、少女の声の刺々しさが更に増す。
状況はよいとは言えない。だが、ほむらにとってはこれは好機でもあった。
「わかったわ。事情を説明するから、まずはこれを解いてくれないかしら」
この拘束さえ解ければ、直ぐにでも魔女を倒して脱出できる。
努めて冷静にほむらはその少女に声をかけた。けれどその少女は、一つ不満げに鼻を鳴らして。
「やだね、先に何がどうなってるのかを話しな。でなきゃ解いてやらないよ」
と、どこかおどけるような、嘲るような言葉を返すのだった。
「悠長に事情を説明している余裕はないの!ここは危険なのよ!」
魔女は魔法少女にとって倒すべき敵。けれどその魔女は、人間の命を刈り取る化け物でもあった。
そしてその眷属たる使い魔もまた、魔法少女にとっては取るに足らない相手だが
ただの人間にとっては恐るべき存在なのだ。
今はまだ魔女は目覚めてはいないのか、使い魔の動きも大人しい。だが、それはいつ牙を剥いてもおかしくない。
だというのに、まるで危機感のないその少女の言動は、さらにほむらを苛立たせた。
「危険?ここが?……確かにちょっと気味の悪い場所だけどさ、どこが危険だってのさ」
少女はそれを鼻で笑った。
けれど、そんな少女の背後に一匹の使い魔が忍び寄っていた。
少女はそれにまるで気づいていないかのように、バッグをごそごそと探り、そこから棒のついたあめ玉を取り出していた。
「いいから早く解きなさいっ!このままじゃ、貴女も危険なのよ!」
魔女も使い魔も、普通の人間には知覚する事が出来ない。それが出来るのは、魔法少女とその素質を持つものだけ。
それ故に目の前の少女は、自身に迫る危機を理解してできていないのだと、ほむらは推測していた。
この状態では、使い魔の相手すらも難しい。とにかく是が非でもこの拘束を解かなければならない。
ほむらの声にも焦燥の度合いが強まっていた。
だが、そんな必死の叫びを嘲笑うかのように使い魔はその牙を剥き、少女へと飛び掛る。
凄惨な光景を予期して、ほむらの表情が強張った。
66Res/63.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。