5:◇qq7WYD933[saga]
2012/09/29(土) 18:07:06.37 ID:AlqVJj+S0
私の中にこんな感情があるなんて、あの人を好きになるまで思ってなかった。
中学生の頃までは周囲の同級生と同じ様に、歌って踊れる男の子のアイドルが好きだった。
女子高に進学はするけれど、文化祭か何かで男子と知り合う事もあるのかな、って軽く考えてた。
あの人の事だって最初から好きだったわけじゃない。
予想とは全然違うのんびりした部に入ってしまって、
どうしたらいいのか戸惑ってしまって、あの人の事も変わった先輩だな、としか思わなかった。
他の先輩達もどこかしら変わってたから、そういう部なんだろうなって思っただけだった。
いつから好きになったのかは、私も憶えてない。
時期としては、一年の頃の学祭のライブが終わったくらいだったと思う。
気が付いたら、あの人の事を目で追うようになって、あの人の事を考える時間も増えていた。
その想いが好きだって気持ちだと認めるのには、それからとても長い時間が掛かった。
多分、普通じゃない自分。
一般からはかなり外れてる自分。
そんな自分の事を思うと悲しくなった。
でも、今はそれより純の事だった。
口が軽くてマイペースだけど、純はいい子だと思う。
私が軽音部の先輩の事を好きだって知っても、誰かに言い触らしたりはしないだろう。
私の秘密を胸の中に仕舞い込んでくれるだろう。
だけど、それと純自身が感じる事とは別問題だった。
純が私を見る目を変えてしまっても仕方が無い。
私の想いはそういう普通じゃない想いなんだから……。
嫌われたって何も不思議じゃないんだから……。
身体が緊張で震えるのを自覚しながら、恐る恐る視線を純の方に戻してみる。
純は見た事も無いような無表情で私を見つめていた。
何か言わなきゃ……。
何かを言葉にしなきゃ……。
「あの……、あのね、純……。
私ね……、私……」
言葉に出来たのはそれだけだった。
それ以上の言葉は、どんなに努力しても溢れ出そうになる嗚咽に掻き消された。
何も、言葉に出来ない。
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