過去ログ - まどか「杏子ちゃん、それはちょっと食べすぎじゃない……?」
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101: ◆GnIWQD74f.[saga]
2012/11/11(日) 20:10:56.86 ID:i3/yMzNfo
 ダイニングへとやって来た私は、詢子さんにテーブルに座るように言われて待ち続けていた。

「はい、熱いココアだよ」

 すると詢子さんは、とても温かいココアを私に持ってきてくれた。
 詢子さんはというと、ウィスキーを氷で割るロックで嗜んでいた。

「ありがとうございます」

「う〜ん。まずは何から話そうかな」

 悩み顏で詢子さんは何を話そうか迷っていた。

「そうだ。マミちゃんはさ。将来どうするとか考えてる事はある?」

「ええと、そうですね……。特に考えていません」

 私は頭の中で少し考えてみたけれど、何も自分の未来のビジョンが浮かんでこなかった。

「あはは。そりゃそうだよねえ。変な事聞いてゴメンね。……それじゃあさ、マミちゃんは結婚して落ち着きたい?
それとも、バリバリ働くキャリアウーマンになりたい?」

「それは……。どちらとも言えません……。でも……」

「でも?」

 私は今から言う事を口に出そうか少し迷っていたけれど、勇気を出して口にした。

「……私は、詢子さんのような優しくて強い人になりたいです」

「あはは。嬉しい事言ってくれるねえ。でもさ、あたしなんてマミちゃんが考えてるほど、そんなに立派なもんじゃないよ?」

 詢子さんが話している時、少し寂しそうにしていたのを目の当たりにして、私は疑問を抱いてしまった。

「えっ?」

「マミちゃんはさ。素直で嘘もつかないとてもいい子じゃない?」

 確かに私は嘘をつくのは苦手だったけれど、いい子と言われるのには違和感があった。

「そう……とは言えないかもしれません」

「どうして?」

「素直かと言われたら意外とそうでもないですよ。この前だってお友達と喧嘩してから仲直りするまでに、とても時間が掛かってしまいましたし……」

 私は曉美さんとの事を話した。

「まあ、それでも仲直りできるんだからあたしはいいと思うな。歳を取ると尚更に……ね」

 詢子さんの寂しそうな様子を見ていると、大人というのは大変なんだなと私は思ってしまった。
 そんな詢子さんが私に話を続ける。

「あたしはさ、マミちゃんとは正反対。マミちゃんと同い年の頃は親と喧嘩ばかりしてたし、素直になるなんて事はまずなかったね」

「そんなの信じられません……」

 こんなに優しい詢子さんが昔はそんな人だなんて、私には信じられなかった。

「あはは。まあ、それだけあたしも大人になったって事かもしれないね。……こんな話を聞いても、あたしの事尊敬できる?」

 少し寂しそうな顔で詢子さんは私の瞳を覗き込んでいた。

「……はい。だってそのお話は過去の詢子さんですもの。今の詢子さんの事なら、私は素直に尊敬できます」

 私が感情を込めてそう答えると、詢子さんは嬉しそうに微笑んでいた。

「ふふっ。本当にマミちゃんはいい子だねえ」

「うふふふ。ありがとうございます」

 詢子さんは真面目な顔に戻って真剣に私に語り掛ける。

「それでね。もしもマミちゃんが将来バリバリ働きたいって言うのなら、あたしが幾らでも助言をしてあげるよ。
あたしの勘だとマミちゃんには、かなりのカリスマ性があると思ってるからね」


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