過去ログ - 稲葉姫子【太一】「太一と入れ替わったわけだが、安価で行動しよう」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東日本)
2012/10/31(水) 06:33:49.02 ID:3idvpfWW0
早朝、永瀬伊織と桐山唯の入れ替わりが起こった。
もはや見慣れてしまった、桐山唯の自室で伊織は目を覚ました。
何度も経験している事態であるため、伊織と唯はすぐに互いに状況の確認をした。
伊織の自宅で、唯も起床していた。
母親がぐっすり眠っていることを確認して、適当に朝食をとってしまって構わないと告げる。
逆に、唯からは『お母さんに聞いて、何かあったらそれを食べて』と言われた。
伊織は思う。
自分以外の文研部の四人には――これがいわゆる、ごく普通の――本当に一般的な家庭で育ったのだな、と。
父親と幸せな家庭を築いている母親。
忙しい中、ふと子供に目を向けて気にかける父親。
兄や姉、妹と同性・異性の兄弟と暮らす日々。
伊織自身、母親との生活は贅沢ができずとも貧しいとは思わなかったし、いまの生活は十分過ぎるほど幸せだった。
ただ――ほかの家庭の中に、取り込まれ、まさに当人となってしまうと、その世界が眩しかった。
ココロのどこかで『あのとき』の自分の選択次第では、こんな世界もあったのではないかと考えてしまう。
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