24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/11/12(月) 22:42:28.99 ID:HIsFg2eDO
…………………………
男「……出来た」
付けられた×印は三つ。
大学と、高校が二つ。
それらは見事に地図の中央付近に固まっていた。
少女「市内の、中央」
男「ああ」
少女「この周囲に、悪魔の足跡が……」
男「あるかもしれないな」
興奮気味に聞いてくる少女に、男自身も胸を小さく高鳴らせながら頷いた。
何だか、秘密の宝の地図を見つけたような、そんな心持ちだった。
男「とにかく、この周囲に何かがある可能性が高い。
今から行ってみよう」
少女「え? 今から、ですか?」
男「学校はサボりだからな。
時間はまだまだたくさんある」
そう言って男が少女に苦笑いを浮かべて見せる。
しかし少女はそんな男に、まるで後ろめたい自分を恥じ入るように表情を曇らせると、そのまま顔を伏せてしまった。
男「お、おい。どうした?」
少女「い……いえ、何でもない……です」
男「何でもない、はないだろ。そんな……」
しかし、男はそれ以上追及する事が出来なかった。
伏せられた少女の顔からはその表情を伺い知る事は出来ない。
だが、しゃくりあげ、嗚咽を漏らしながら肩を揺らし始めた少女を見れば、どんな顔をしているかは容易に想像することが出来た。
男は手を伸ばしかけ、引き戻し、しかしすぐに思い直しておそるおそる少女の震える肩へと、そっと手を置いた。
男「こういう言い方、卑怯かもしれないけどさ……真実を話すって、約束したろ?
話したくないなら無理にとは言わないけれど、誰かに話して楽になることもある……と思うぞ?」
少女「は……はい。そ、そうです……ね……」
少女は鼻をすんすんと鳴らしながら、涙に濡れた顔を上げる。
少女「男さんは本当に……いい人です」
そして少女はその涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を和らげて、大きく笑みを作ったのだった。
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