363: ◆guueZER6fU[saga]
2013/11/16(土) 02:33:46.02 ID:Z0geXoAn0
「……本当に、ここで着替えるんですか?」
不意に卯月が、玄関を見回しながら聞いてきた。
「あ、ああ、うん」
二人の存在を半分忘れていた真は、どもりながら頷き、バッグからスーツを取り出した。
その真の肯定に、二人は嫌そうに少し眉を潜める。
それもそうだ。
見ず知らずの家の玄関で着替えをするだなんて馬鹿みたいな行為に、抵抗感を感じない訳が無い。
しかし真がスーツを置いて、何気ない顔で服を脱ぎ始めると、二人も戸惑いはあるようだが特に文句は言わず、それに続いて衣服を脱ぎだした。
シャツまで脱いだところで真は、なんとなしに二人のケースの表面を見やった。
卯月のケースには『ぱんぴー』、そしてみりあには『ロリ』とあだ名が書かれている。
(ロリ、は分かるけど……『ぱんぴー』って?)
『ぱんぴー』とは一般ピープルのことだろうか。
なぜそう名付けられたのかは知る由もないが、それが彼女と何かしら関係のあるものなのは間違いない。
ただ、スーツケースをガンツから取り出す時、卯月が自分の『あだ名』を見て眉を潜ませていたことを思い出すと、名付けられた本人もその理由はよく分かっていないようだ。
(あ……そうだ)
上半身の上着を全て脱ぎ去ったところで、真はふと思い立った。
「下着とか着てると、このスーツ着れないから気をつけてね」
脱衣中の二人に注意を促す。
すると二人は動きを止め、呆けた表情を真に向けた。
「つまり、全裸にならないと着れないんですか?」
卯月の言葉に真が首を縦に振ると、二人はやはり不満げに首を傾げつつも、脱衣を再開した。
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