382: ◆guueZER6fU[saga]
2013/12/21(土) 15:07:59.95 ID:rjIC/uYV0
遠目に六人を見ながら話していると、その集まっている六人の中から突然、眼鏡を掛けた男が叫んだ。
「あっ、ちょっと!」
真いわく赤羽根という名前らしい男の声に、皆が振り向く。
見ると、あのヤクザ二人、加えて劇団員の三人が歩道に沿って、この場から離れようとしていた。
引き止められるも五人は足を止めず、その中でヤクザ二人が攻撃的な目つきを赤羽根達に投げかける。
「るせーな!誰が付き合うっつんだよバカヤロー!」
罵り、気弱そうな顔つきのヤクザが中指を立てて見せた。
「だから!」
ヤクザ達の態度に、一瞬呆れたような表情を浮かべながらも、赤羽根が諦めずに声を掛けようとする。
ピンポロパンポンピンポロパンポン
しかしそれを遮り、どこからともなく軽快な電子音が聞こえてきた。
ピンポロパンポンピンポロパンポン
電子音は一向に鳴り止む気配が無い。
(なにこれ。携帯の、着メロ?)
卯月はそう思ったが、場違いなそのメロディーに、新参者達が皆お互いを見合っているところを見ると誰も携帯など持って来てはいないようだ。
それに、そのメロディーはやや遠くから鳴っているように聞こえた。
それもちょうど、ヤクザや劇団員達がいつ場所辺りから。
「なんだろ、この音……」
卯月達が戸惑っていると、「止まれー!」と、さっきよりも増して随分と必死な様子の叫び声が聞こえてきた。
その声は祐喜……という名前らしい、男のものだった。
「それ以上進んじゃ駄目だ!」
「戻ってきてください!」
隣にいた真もそれに合わせて呼び掛け始める。
そして何故か、やよいはその少し後ろで、手を口に当てて青ざめた顔で遠くにいる五人を見ていた。
尾形と倉田は腕組みをして、冷たい表情で歩み去る五人を見つめているが−−−−それ以外の、赤羽根や真の様子を見る限りだと、どうやらまずい状況であることは確かなようだ。
その焦りように卯月達も不安になる。
「るっせんだよバカヤロー!」
「フザケた音流しやがって!うるっせんだよ!」
しかし、劇団員の三人はともかく、ヤクザの二人はそれに聞く耳を持つ様子も無い。
「それ以上行くと、頭が爆発します!戻ってきてください!」
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