83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/15(土) 20:22:21.21 ID:UMM1tWcf0
「はっはっはァ!!」
体中にべったりと付着した黄緑色の血液を意に介さず、吉川は楽しそうに笑っている。
(……狂ってる)
真は率直にそう思った。吉川は常人とは違う、どこかネジの外れている人間なんだろう。相手は曲がりなりにも生き物だ。それを殺して楽しそうに笑う姿は、真の目にはただただ不快に映った。
「じ ゃ仝 ―>」
「ι゛εガΠ ⊃」
緊張が少し緩んだところで再び声がした。今度は二体。
いや、二体だけではない。その声を発端に、周りからキリン星人の声が続々と聞こえてきた。
「£ャ ヶ リこ」「ι"*≡り コ」
「ジ ψが り コ」「仝ゃ 々り⊃」
「ξゃガ ‖⊃」「仝 ャξ Π>」
全員が身構える。
無数の不気味な声は重なり合い、住宅街にキリン星人の合唱が響き渡った。
しかしその姿が見えない。真達は辺りを見回して見えない声の主達を探した。
不意にやよいが上を見上げて、「あっ」と間の抜けた声をあげた。
その反応に釣られ、真も顔を上げる。
そして目に飛び込んできた光景に、真は心臓が鷲掴みにされたような感覚を覚えた。
住宅の屋根の上から、無数のキリン星人が長い首を覗かせていた。
空に伸びる幾つもの首さながら林のようだ。
見下ろす星人達の真っ黒な瞳は、真達をしっかりと捉えている。
真達がキリン星人達に気付くと、途端に星人達は黙り込み、居心地の悪い静寂が辺りを包み込んだ。
「囲まれた……」
皆が絶句する中、赤羽根がぽつりと呟いた。
肌がぴりぴりし、背筋に嫌な汗が流れる。
真は、表情は相変わらず無表情だがキリン星人達から少なからず放たれている殺気をなんとなく感じた。
見つめ合いか、睨み合いか。
膠着状態が続く中、ふと一体のキリンが首を動かして視線を移した。
そこから次々とキリン達が首を動かして視線を変える。
キリン星人達の視線のほとんどは、黄緑色の血液まみれの吉川に集中していた。
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