951: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 17:57:50.82 ID:hWToRdhWo
春香は崩れ落ち、地面に転がる。
私は地面を這って春香の元へと手を伸ばす。
その手には何の能力も魔法の力もないけれど。
952: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 17:58:32.73 ID:hWToRdhWo
「第二軍……う、」
指揮官が私に向かって矢を射るように命令を下そうとした瞬間、
953: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 17:59:17.90 ID:hWToRdhWo
春香の体に手が届いた時、
私は確かな春香の死を実感していた。
954: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 17:59:53.59 ID:hWToRdhWo
頭の中には春香と旅をして、
春香と剣を交え修行をして、春香とご飯を食べて、
春香と寝ている。
955: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:00:35.05 ID:hWToRdhWo
――今までずっと一人だったけど、私ね……千早ちゃんがいるからもっと強くなれる。
956: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:02:42.64 ID:hWToRdhWo
何も考えずにただただ悲しみ、涙を流し、叫んだ。
957: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:03:58.13 ID:hWToRdhWo
さらにその勢いが止む間もなく私は拾い上げられた。
とても強い力で引っ張らて、うなだれている私にも声だけは聞こえていた。
958: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:04:28.91 ID:hWToRdhWo
「あばれないでよ! もう!」
「全軍、反撃に出るわよ! 押せ押せ押せ!」
959: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:05:02.54 ID:hWToRdhWo
気がつくと私は病院らしきベッドの上にいた。
起き上がろうとした瞬間に体の痛みによって、
戦争のこと、春香が死んだことを全て思い出した。
960: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:05:29.32 ID:hWToRdhWo
私は何も考えずにポケットにしまい、またフラフラと歩き出した。
町の離れたところまで来ると人はいなくなり、
まるで世界には自分一人しかいないんじゃないかと思うくらいだった。
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