957: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:03:58.13 ID:hWToRdhWo
さらにその勢いが止む間もなく私は拾い上げられた。
とても強い力で引っ張らて、うなだれている私にも声だけは聞こえていた。
958: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:04:28.91 ID:hWToRdhWo
「あばれないでよ! もう!」
「全軍、反撃に出るわよ! 押せ押せ押せ!」
959: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:05:02.54 ID:hWToRdhWo
気がつくと私は病院らしきベッドの上にいた。
起き上がろうとした瞬間に体の痛みによって、
戦争のこと、春香が死んだことを全て思い出した。
960: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:05:29.32 ID:hWToRdhWo
私は何も考えずにポケットにしまい、またフラフラと歩き出した。
町の離れたところまで来ると人はいなくなり、
まるで世界には自分一人しかいないんじゃないかと思うくらいだった。
961: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:07:15.13 ID:hWToRdhWo
ぼぉーっと次の日もその場にいた。
何も考えずにいた。誰かが声をかけてきた。
春香じゃなかった。
962: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:08:08.72 ID:hWToRdhWo
如月千早へ。
あなたを勝手ながら病院へ運ばせてもらったわ。
それから彼女、天海春香のことだけど、遺体が奪われてしまった。
963: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:08:35.41 ID:hWToRdhWo
あなたが元気よく生きて逃がすことがあの人の最期の使命だったはず。
それが最後の最後に願ったものだと私は思う。
964: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:09:06.12 ID:hWToRdhWo
その貴音を探すために一年後、城で王国内の全国規模で勇者を募集しているわ。
今は始まってしまった戦争に手一杯で、そこまでできない。
だけど、この一年の間、あなたがどれだけ成長するか、私は楽しみにしているわ。
965: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:09:38.06 ID:hWToRdhWo
だけど、それでも、この理不尽な結果に抗いたいのであれば、
城へ来て、試験をパスして、まずはそれから考えなさい。
そして思い出しなさい。
966: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 18:10:42.12 ID:hWToRdhWo
私は手紙をこれでもかというくらいに破り捨てた。
細かく細かく刻んでいた所で風が吹いてそれらは全て飛ばされていった。
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