過去ログ - ねぇ健一、線路に飛び込むのはどう?
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28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/11/25(日) 16:36:25.03 ID:H1RzuMIg0
亜矢水が僕の手を、それまでよりも強く握った。

僕もその手を強く握り返し、そのまま歩き続けた。

太陽は地平線にほぼ隠れていたが、まだ空気は熱を帯びていて、握っている手もじんわりと汗ばんでいる。
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/11/25(日) 16:37:45.04 ID:H1RzuMIg0
「亜矢水」

「ん、何?」

亜矢水はいつの間にか髪留めを外していた。
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/11/25(日) 16:39:02.72 ID:H1RzuMIg0
ふいに、ケータイの着信音が鳴った。

亜矢水は驚いたのか一瞬跳び上がり、すぐに僕の方を見た。

僕は思わず亜矢水から目をそらした。
以下略



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/11/25(日) 16:40:36.52 ID:H1RzuMIg0
急に自分の決心が揺らいでいくのが分かる。

あぁ、こんなことになるならやっぱり持ってくるんじゃなかった。


以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/25(日) 16:41:23.17 ID:jWc4y5lAo
ピーは、メール欄に『saga』と入力すると解除できるよ

sageじゃなくてsaga
さげ、じゃなくて、さが

以下略



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/11/25(日) 16:41:55.52 ID:H1RzuMIg0
僕はケータイを近くの草むらに思い切り投げ捨てた。

と同時に、踏切から規則的な機械音が鳴り始めた。

赤いランプが僕と亜矢水を交互に照らし、まるで僕たちの自殺を止める気もない様子で、面倒くさそうに遮断機が降りてきた。
以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/11/25(日) 16:43:07.66 ID:H1RzuMIg0
>>32
そうなのか
知らなかった!サンクス


35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 16:45:44.03 ID:H1RzuMIg0
死ぬ気になれば何でも出来るなんて嘘だ。

僕は死を目前に控えた今改めて思う。

死ぬ気で頑張っても夢を叶えられるのはごく一部の人間だし、働くことすら許されない人だってたくさんいる。
以下略



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 16:47:18.80 ID:H1RzuMIg0
僕は耐えられなくなって、亜矢水の方を見た。

亜矢水は、真っ直ぐ前を向いていた。

けれど――歯を食いしばって、今にも泣きそうな顔をしていた。
以下略



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 16:48:51.07 ID:H1RzuMIg0
「健一」

「ん?」

「ありがとう。健一がいたから今まで生きてこられた」
以下略



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 16:49:42.99 ID:H1RzuMIg0
「なんだよ、今更。恥ずかしいじゃないか」

僕は手を握っていない方の手で頭を掻いた。

線路の周りの田んぼは全て暗闇に覆われている。
以下略



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 16:58:39.51 ID:H1RzuMIg0
「この世では最後かもしれない。でも、また向こうですぐ一緒になれるから、だから…安心して」

「うん」

 僕と亜矢水は、手を握ったまま線路を見つめていた。
以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 17:00:20.87 ID:H1RzuMIg0
『健一へ』

謝らなきゃいけないのは健一じゃないでしょ。


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41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 17:07:21.55 ID:H1RzuMIg0
電車が通った。


僕の体をぐちゃぐちゃにして、

以下略



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 17:08:31.23 ID:H1RzuMIg0
それは警笛を鳴らしながら、瞬く間に僕の目の前を通り過ぎて行った。


生きているのか死んでいるのかはよく分からなかった。

以下略



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 17:10:22.74 ID:H1RzuMIg0
「ほら…上を向いて」

僕は亜矢水に言った。自分でも驚くほどやさしい声だった。

「ごめん…なさい…」
以下略



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 17:11:06.22 ID:H1RzuMIg0
お互い、死ぬのは怖かった。


どんないじめにも苦痛にも耐えてきた僕たちがまだ味わったことのない「死」の恐怖。

以下略



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2012/11/25(日) 17:13:27.24 ID:H1RzuMIg0
「あたし、勇気が、足りな、くて…」

「分かってる。俺もそうさ。だから泣くなよ」

事態は何も変わっちゃいないけど、心はとても穏やかだった。
以下略



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/11/25(日) 17:16:40.61 ID:H1RzuMIg0
はじめての投稿でした!ありがとうございましたー

むかし途中までブログにあげてた話なんですが完結させたくて頑張りました

感想や意見などありましたら今後の参考にしたいので
以下略



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/11/25(日) 18:42:30.57 ID:glxYzyEDO
短いが良かったよ
事態が何も良い方向に向かってないのでスッキリはしないが、話を膨らませる要素もあるし、
今後の作品に期待。


48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/11/28(水) 01:18:14.54 ID:vPS+21koo
今読み終わった
俺はすごく好きだ ちょうど俺も将来に不安があって色々考えてたからな
良かったらまた書いてくれ


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