過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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886:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 20:46:06.76 ID:rzqgzBqc0
男「女騎士、ちょっといい?」

 騎士と男とは別の女騎士一人の部屋の前に立ち男は扉越しに彼女を呼びかけた。

女騎士「ん? 男、いつの間に帰ってきたんだ。用はもうすん……だ」

 扉を開き彼を部屋に招こうとして女騎士は固まった。見知らぬ少女の姿が彼の後ろにあったからだ。

女騎士「えっと、この子は?」

男「実は昼間言っていた女の子。ちょっと、色々あって……」

女騎士「う〜ん。まあ、男がそう言うならそうなんだろうけど。とりあえず中に入ったら? 何か話があるんでしょ?」

男「うん、ありがとう」

 そう言って室内に男と少女を招き入れる女騎士。少女は先ほどと同じように男の背中にずっと隠れていた。

女騎士「それで、どうしたんだ?」

 女騎士にそう問いかけられて男は先ほど騎士に話したのと同じ内容を女騎士に語った。やはり女騎士も騎士と同じように男の話す内容に驚きを顕にしていたが、それでいてもどこか納得したような様子だった。

女騎士「なんとなく昼間の時からこんな風になりそうな気はしていた。それに、男が決めたことだ。きちんと責任は取るつもりなんだってこともわかっている。
 けど、ひとつだけ聞きたい。どうしてそんなにその少女にこだわるんだ?」

男「……死んだ妹と年が近いんだ。生きていればこれくらいの年だったかなって思ったら放っておけなくて」

女騎士「……そうか。正直に言えば反対したいけれど、男が面倒を見るって言ったからには任せるわ。けど、これから私たちに同行するってことになるんだから、この子は私にとっても仲間だから。
 今は心を閉ざしているみたいだけど、そのうちちゃんと話せるようになれれば嬉しいかな」

男「うん。きっとそうなるよ。今はまだ、無理みたいだけどね……」

 そう言って少女の方を見るが、やはり少女は男以外に心を開くつもりがまだないのか前に出そうとする男の手にイヤイヤと首を振って強く背中にしがみついていた。

女騎士「まあ、仕方ないな。ただ、気になっていることがあるんだがその子結局どうやって寝かすんだ?」

男「えっと、今のところはこの宿の店主に一人分多く値段払って僕の部屋で一緒に寝かそうかと……」

女騎士「そ、そうか。まあ、まずは体を綺麗にしないといけないがな」

男「そうだね、とりあえず近場の風呂屋にでも連れて行くよ」

 そう言って男は部屋を後にした。残された女騎士はお人好しな彼の背中を見送り、ひとり残された部屋でつぶやく。

女騎士「男は優しすぎるな……。でも、誰に対しても優しすぎるそれは時に人を傷つけるんだぞ」



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