過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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876:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 03:33:47.50 ID:rzqgzBqc0
 それを見た瞬間、男の中に猛烈な庇護欲が湧き上がった。それは、かつて妹の面倒を自ら進んでみていた頃と同じような家族に対する情愛であった。
 今まで長い間ずっと忘れられていたそれは、覚醒と共に溜まりに溜まっていた欲求を男の体の隅ずみまで満たした。もういないはずの妹と少女に姿を重ね、妹にできなかった全てを少女にはしてやりたいと思った。そう、男は目の前にいる少女の幸せを第一に考えたのだ。
 そうして、男はゆっくりと少女に近づいた。だが、自分に近づいてくる存在に気がついた少女は遠く、明るい世界への羨望を即座に心の奥底へと隠すと再び敵意をより色濃くし、男をキッと睨みつけた。
 だが、男はそれでもなお少女に向かって突き進んだ。かつて、自分に優しい言葉を投げかけてくれた全ての人を拒絶していた自分を救ってくれた女隊長と同じように。

以下略



877:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 03:34:33.25 ID:rzqgzBqc0
 本当ならば叫び出したいほどの痛みであるにも関わらず、男はそれをグッと堪え、少女をなだめた。だが、それでも少女は先ほどよりも強く、強く男の手を噛み続けた。
 少女の気が収まるまで必死に苦痛に耐える男。痛みのせいか、顔からは脂汗が滲んでいた。
 そして、そんな男の態度に少女も疑問を抱いたのか、手を噛む力がほんのわずかに弱まった。
 どうしてこの男性は逃げ出さないのだろう?
 どうしてこんなにも優しく自分を包み込もうとしてくれているのだろう?
以下略



878:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 03:35:11.77 ID:rzqgzBqc0
少女「うっ……ううっ……うぇっ……うぇぇっ」

 怒りはまだ表していたものの、その瞳からポロポロと涙がこぼれ始めたのだ。そして、それは徐々に敵意を収めることにもなり、男の手に噛み付いていた少女の歯が少しずつ肉から離れていく。
 そして、口を男の手から離し、自分を抱きとめる青年の顔を見た瞬間、それまで我慢していたものが限界に達したのか少女は嗚咽を漏らしながら思いっきり泣いた。

以下略



879:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 03:38:20.23 ID:rzqgzBqc0
今回はここまでで。これから少しずつ書ける時間が増えてくかもしれないのでゆっくり、できるだけ多く更新しようと思います。
あ、ちなみに少女は女魔法使いです。まだ魔法覚えてないので少女表記です。


880:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/19(水) 07:44:42.70 ID:gh0qkFvIO
ナウシカ思い出した


881:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/19(水) 08:06:50.74 ID:aZQ32+OUo
乙でした


882:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/19(水) 18:37:33.39 ID:e4kaWitO0
少女は女魔法使いです、ってそんなこと何でいまバラしちゃうの?
あとで読者を「女魔法使いだったのか!?」ってびっくりさせてくれるとこじゃないの?


883:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 18:49:58.35 ID:rzqgzBqc0
>>880
ナウシカは見たことがないので話がわからないですね。似たようなところがあるんですか、気になります。

>>881
ありがとうございます。
以下略



884:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 19:17:41.66 ID:rzqgzBqc0
騎士「で? その子どうしたんだ?」

 宿屋に戻った男は部屋を共同で使っている騎士にそう告げられた。その光景はどう見ても、浮浪児を男が連れて帰ってきたようにしか見えない。騎士からすれば、突然酒場を抜け出し少女を連れて帰ってきた男の行動が理解できず、そのように問いかけるのも無理はなかった。

男「えっと、拾ってきた」
以下略



885:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/19(水) 19:18:31.36 ID:rzqgzBqc0
騎士「はぁ……。ったく、しょうがねえな。俺らのリーダーはお前だからそのお前が決めたことなら従うよ。けど、どうすんだその子? 言っとくけど俺らもいつまでもこの街にいられるわけじゃねえぞ。
 そうなった時にこの子は施設にでも預けるつもりなのか?」

 そう言って騎士は先程からずっと男の後ろにその身を隠している少女を見た。未だ男以外には心を許していないのか、少女は騎士に対して鋭い視線を向けていた。
 そして、彼の発言が理解できているのか、また自分が捨てられてしまうかもしれないという未来を想像し、不安そうな様子で上目遣いに男の顔を見た。
以下略



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