956:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2013/12/04(水) 23:28:35.46 ID:T5gfInHm0
ほむらは目を瞑る。
それと同時に眩い光がほむらの全身を包み込む。
まどか「え……!?」
細い薬指に嵌めた指輪が菱形の宝石となって、左手の甲で紫色の輝きを発する。
白い服と紫のスカートの下の黒いタイツ。
魔法少女の姿をしたほむらが収まった光の中から姿を現した。
まどか「え……なんで……?」
もう魔女になるのを静かに待つだけ、そう思っていたまどかは困惑の表情を浮かべる。
そんなまどかを置き去りにして、宙に出現させた黒い弓をほむらは左手でしっかりと掴みとる。
ほむら「……音が、聞こえたのよ」
まどか「……?」
ほむら「私はずっと、先の見えない夢の中で出口が分からずに彷徨い続けていたわ」
眼を伏せて魔獣に眠らされ悪夢を見ていた時のことを思い出す。
あの時、ほむらは確かに聞いた。
聞こえるはずの無い音を。
ありふれた、しかしほむらにとって特別なあの音を。
それは歯車が時を刻む機械仕掛の調べ。
まどかに貰った時計の針が動く音―――。
ほむら「きっと、そんな私に彼女が背中を押してくれたのね……」
ほむら「そのまま『進め』、と」
寂しそうに、何の装飾も施されていない左手首に目を落とす。
着けていたはずのものは何時の間にか無くなってしまっていた。
大切な思い出の断片を失ってしまったことに悲しみを覚えない訳ではない。
ほむら(でも……これで良い)
全てをここに置いて行くのだから―――
ほむらは深呼吸して目を見開く。
握った弓をゆっくり頭上へと持ち上げ、天上へと向ける。
もう一方の手に持った魔力を練った矢を充てがうと、弓の先から魔力の炎が放出され、大きく揺らめいた。
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