過去ログ - 【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/03(月) 20:16:24.71 ID:uc/YTnbAo
それから数分ほど降下を続けると、下の方で煌々と灯りが点っている事に気付く。

クライノート<どうやら、本格的に施設内部に出るようです>

クリス<そうみたいだね……>

クライノートからの報告を聞きながら、クリスは身構えた。

降下の間に多少の魔力は回復できている。

元々、対物操作に特化した魔力特性である。

飛行魔法ならともかく浮遊魔法程度なら今では魔力弾を撃つよりも楽勝だ。

ここまで降下するのに使った魔力よりも、回復した魔力の方が多い。

残りの魔力量は七割強。

クリスの魔力量はSランク一.五人分ほど、
ざっくりとした数値を言えばDランクを一として一四八〇〇前後。

残量で言えば一一〇〇〇程度だろう。

全開の魔法や魔力障壁を使えば、大概の魔力的、物理的な罠に対応できるハズだ。

クライノート<クリス、ダクトの終端とその先の空間の床面まで三十メートルほどの落差があります。
       掴む場所がない場合、瞬間的に落下速度が増加します。

       気を付けて下さい>

クリス<うん、分かった>

クリスはクライノートの計測とアドバイスに頷くと、その瞬間を待つ。

そして、彼女がダクト状の通路の終端を抜けた瞬間、急速な落下を始めた。

かなり広い空間だったようで、クライノートが計測した通り、
十数階建てのビルに匹敵する高さがある。

しかし、クリスは事前の愛器からのアドバイス通り、
慌てずに浮遊魔法を調整し、床に激突する寸前に減速してゆっくりと降り立った。

クリス「ふぅ……」

数分ぶりの安定した足場に、クリスは安堵混じりの溜息を漏らす。

警戒していたような罠もなく、どこか拍子抜けした感すらある。

しかし、ここは敵地だ。

クリスは気を引き締め直し、辺りを見渡した。

広さは大体、直径四〇メートルほどの円筒型。

壁に埋め込まれた無数の照明が、金属そのままの色の空間を明々と照らし出していた。

そして、この空間を構成している金属らしい物質の殆ど全てから魔力を感じる。

クライノート<この施設そのものが魔力で形作られているようですね>

クリス<そうみたいだね……。
    魔力探知が上手く働かないよ>

クライノートの報告を聞き、クリスは溜息混じりに返した。

元々、あまり魔力探知能力が高いワケでもなかったが、
ここまで魔力探知を阻害されると、この空間の外の魔力を探るのは難しい。

クリス(リーネお姉ちゃんくらい敏感なら、
    この施設内でもある程度探知できそうだけど……)

クリスはそんな感想を抱きながら、さらに辺りを見渡す。

やはり罠らしき物は見当たらない。

このまま一旦上に戻って仲間達と一緒に出直して来た方がいいだろうか?

そう思ってクリスが天井の穴を見上げた瞬間、背後で金属が静かにスライドする音が響いた。


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