過去ログ - 【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/03(月) 20:10:13.91 ID:uc/YTnbAo
第34話「奏とカナデ、クリスとナナシ」



十二月六日、午後二十二時五十五分。
アイスランド共和国、ヴァトナヨークトル氷河――


空中戦でネーベルを下したリーネの活躍と、
特務メンバーと本條家の一部が地下施設への突入を果たしたと言う報せは、
研究院側の士気を大いに上げていた。

エージェント「総員、怯むな!
       地上での戦闘で敵勢力をこちらに釘付けにしろ!
       一体たりとも、地下に戻させるな!」

小規模部隊の指揮権を委ねられていたAランクエージェントの一人が、
自身の指揮下にいる仲間達の戦意を鼓舞するように叫ぶ。

????「……いやぁ、ウチの隊長さんは熱いねぇ」

士気を上げる仲間達を後目に、一人の男がやや気怠そうに漏らした。

汎用遠距離型ギアをライフルのように構えたその男は、
そう言いながらも正確なスナイピングで機人魔導兵達の頭を吹き飛ばして行く。

?????「真面目にやっておいた方がいいですよ、先輩」

その男を、一人の男性エージェントが呆れたように窘める。

彼の名はジルベルト・モンテカルロ。

十一年前、魔導巨神事件の際に研究院に投降し、
二年間の更正教育期間を経て戦闘エージェント隊にその身柄を預けられる事になった男性だ。

当時十七歳、現在は二十八歳である。

????「俺はコレでも真面目にやってるつもりだけどね……」

そんなジルベルトに“先輩”と呼ばれたコチラの男性の名は、クライブ・ニューマン。

同じく十一年前の魔導巨神事件において研究院に投降、
幼い頃から暗殺者を生業にしていた事から永久投獄刑に処されていた、
現在二十九歳の男性である。

そんな人間が何故この場にいるかと言えば、頭数を揃えたい研究院上層部の思惑で駆り出されたためだ。

彼は元より“生きるために出来る事”として、
その魔導の力を暗殺に使い、マフィアの庇護下に身を置き、
十一歳の頃からはグンナーのコピーの元で私設部隊の初代隊長として、
恋人であるキャスリンが二代目隊長に就任して以後はその隊員として生きて来た。

生きる事に事欠かない状況では誰かに危害を加える必要も理由も無く、
投獄されてからの彼は模範囚として過ごし、
監獄施設でその生涯を終えるつもりだったのだ。

だが、模範囚であったが故に今回の作戦に駆り出される事になり、今に至る。

クライブ「恩赦が出るって言っても刑期が多少短縮されるだけで、
     無罪放免になるワケでも無いだろ?

     ……まあ、死なない程度に適当にやるさ」

そう言いながらも、クライブはその間だけで三体の機人魔導兵の頭部を吹き飛ばした。

さすが、狙撃だけならばSランクと謳われただけあり、
その狙いも威力も並の戦闘エージェントの比では無かった。

かつて、あのリノですら彼とキャスリンを含む四人を相手に長期戦を強いられたが、
その要因の大半は彼にあったと言っても良いだろう。

十一年の投獄期間を経ても衰えぬその正確な狙撃は驚嘆に値する。


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