933: ◆jiLJfMMcjk[saga]
2013/07/04(木) 04:42:31.54 ID:0gckZWHD0
ヴォルデモート「そうであろう? お前の働きは見事だ――いまも逃げ隠れしている、かつての部下どもに比べればな。
だが、もうすぐだ。もうすぐお前以上に忠実で優秀な部下が、ハリー・ポッターを連れて参上する……」
クィレル「……ご主人様、ひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
痛みが引き、どうにか呼吸も整えたクィレルが首を傾げた。
クィレル「ご主人様は、その、以前――ハリー・ポッター、あの小僧めに……」
ヴォルデモート「怯えることはない。クィリナス。そう、俺様は奴に呪いを跳ね返され、見る影もないほど凋落した。
それは事実だ。だが、それがどうした?」
クィレル「は、はい――その、愚かな私には分からないのです。偉大なご主人様の力が、ただの赤子に通じなかった訳が……」
ヴォルデモート「ふむ……なるほど。お前にしては賢い考えだ。確かに、主の力が赤子以下ともなれば不安にもなろう……」
クィレル「ご、ご主人様! 決してそのような――」
ヴォルデモート「ああー……分かっておる。お前の忠誠を疑うほど、俺様も耄碌はしていない。
そしてその問いには、お前の忠誠に報いるなら、こう答えるべきだろうな」
ヴォルデモート「――分からぬ、と」
クィレル「ご……ご主人様にもお分かりにならないので?」
ヴォルデモート「ああ、そうだ。己を繕うために嘘はつかぬ……あの小僧めが我が呪法から逃れた手法を特定することは叶わんだ。
あと一度、直に接触すれば別だろうがな――」
しかしだ、とヴォルデモートは言葉を続ける。
ヴォルデモート「完全な特定はできぬが……ある程度の予想はついている。おそらく、何らかの旧き魔法だろう。
それがあの小僧を守護している……そしてその類の魔法は、経年による劣化を防げぬ。
遅くとも奴が成人になる頃には解けてしまうだろうよ……」
ヴォルデモート「それに、守護の正体が分からぬのも我が部下がハリー・ポッターをここに連れて来るまでよ。
今度は呪いを跳ね返されるような真似はすまい――じっくりと、確実に殺そう。
そしてその暁には、かつての死喰い人どもを従え、魔法界を席巻するのだ……」
やがて来るその甘美な時を予想し、ヴォルデモートはくつくつと笑った。
1002Res/989.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。