過去ログ - マミ「アバダケダブラ!」
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934: ◆jiLJfMMcjk[saga]
2013/07/04(木) 04:43:58.97 ID:0gckZWHD0

 ――全ての運命はヴォルデモートの味方をした。

 "本来"この時点で、ヴォルデモートは、ハリー・ポッターに刻まれた犠牲の印の意味に気づいている筈だった。

 自己犠牲による守護の魔法。それはかつての凋落の原因と、ハリー・ポッターに触れられぬという屈辱を闇の王の心に刻印する筈だった。

 そして、ヴォルデモートはその二つを克服するために、ハリーの血を己の身体に取り入れる。

 それはヴォルデモートの敗北を意味する。守護の魔法を体に取り入れれば、確かにハリーに触れることはできるだろう。

 だが同時に、自身が生きている限り、決してハリーを殺すこともできなくなるのだから。

 しかし、それは起こらない。三年前、まだハリーが一年生の時、ホグワーツの地下で直に接触する機会が得られなかったからだ。


 かつてヴォルデモートが使用していた愛杖は、凋落の現場にいた、ピーター・ペティグリューがその在り処を知っている。

 だが、ペティグリューはいまやアズカバンの中。その在り処を聞き出すことは不可能だ。

 そして、それもヴォルデモートの勝利を後押しする――ハリーとヴォルデモートの杖は兄弟杖であり、
 互いに向け合ったとき、相手に対して正常に作用しなくなる。つまり、この杖の存在もハリーを守るものであった。

 その杖が失われた今、ヴォルデモートは、ハリーに対して正常に死の呪いを掛けることのできる新たな杖を手に入れた。


 最後にハリー・ポッターを守護するのは、かつて赤子だったころの彼に刻みつけられた、ヴォルデモート自身の魂。その欠片。

 だが、それとて完璧な守護ではない。闇の帝王の死の呪いを一度受ければ、容易く破壊されてしまうだろう。


 そう――いまや、ハリー・ポッターは、ヴォルデモートに対する無敵さを失っていた。

 数年後、ハリーを守る犠牲の印が効果を失った後、死の呪いを二度掛ければ、それでハリー・ポッターを完全に殺すことができる。


 無論、ヴォルデモートはその事実を知らない。だが知らずとも、運命はそのように動き始めている。

 廃墟の中で、ヴォルデモートは笑い続ける。やがてくる勝利に。死をも飛び越えるであろう己の栄光に。

 ――だが、その笑いがふと、途切れた。

ヴォルデモート(……なんだ?)

 訝しみ、ヴォルデモートは立ち上がる。

 何者かに、己の名を呼ばれた気がしたのだ――


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