28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:51:50.93 ID:ciVG5wjy0
「私も一応は自分の意志で付いて来たからな。とやかく言うつもりはないんだが」
「う〜ん。木場さん、夢を届けるって言ってたじゃないですか〜」
速度が収まったので、荷台を移動してイヴの横へと座る。
典型的なサンタのイメージである、恰幅の良い男性のサンタ用に作られているのか、私たちは二人並んでちょうどよく収まった。
呼吸を整えて、にわかにイヴが話し始める。
「良い子にプレゼントなら慣れてるんですけど、足りない夢って、届けるにしてもどうすればいいのか、不安だったんですよ〜」
「……そういえばそうだな」
彼女が言い出したのは至極まっとうな疑問であり、また不安であった。
……正直言うと、私も方法までは考えていなかった。
「で、どうしようかと思っていたらまさに目の前に、夢と自信の伝導師?そんな木場サンタさんがいらっしゃるじゃないですか〜」
「よく分からないキャッチフレーズだな……」
「でも、途方に暮れる私に夢を届けてくれたのは、他でもない木場さんです〜」
なるほどまったくもって正しい要請だ。自分でも驚くが、私はイヴにきちんと夢を届けることができていたらしい。
それならば頼られるのも当然と言うものだが…… どうしたものか。
「まぁ、ものは試しです〜。夢のお届け第一号、行ってみましょ〜!」
「……もう着いたのか?」
考えがまとまらないうちに、ブリッツェンが高度を下げる。
見たところ都会といった風ではないが、少し豪華な一軒家が建ち並ぶ、裕福な住人の多そうな地区だ。
私たちはその中でも少し大きめの一軒家の庭へとそっと着地し……そういえばこれは不法侵入ではないだろうか。
「……まぁ、夢の届け方なんて相手が誰かにもよるな。話はそれからだ」
まどろっこしいことはなしにして、私は周囲を警戒するイヴの後について、表札を確認しに向かった。
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