61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:39:50.29 ID:c0RIlJVf0
仁奈の家もやはり周りの家と同じく、塀で囲まれた区画にかっちりと詰め込まれた二階建てだ。
2階には小さなベランダ、1階には駐車スペースがあり、ちょっとした高級車が停まっている。
家自体は普通だったが――家の周囲を回る際に、仁奈の部屋ではなく、一階の居間らしき部屋から声が聞こえた。
私は後ろにいるイヴを手で制してから、プレゼント袋やおぼつかない足下を気にしながらその場にかがむ。
こんな時間――時計はすでに3時を回っているというのに、まさか家族そろって起きているのだろうか。
『せっかく帰ってきたのに、仁奈のところに行ってあげないの?』
『行きたいさ、プレゼントだって持ってきた。しかし部屋の様子からして起きているようだし……ううむ』
『今日だってすごい偶然が重なって、やっと少しだけ帰って来れたんでしょ?』
『そうそう、本当運命の悪戯でもあったのかってくらい……それでもほとんど時間がないのが悲しいな……』
『今は帰って来れただけでも喜んで、仁奈に会わないと……』
いや、聞いている限りでは仁奈はいないようだ。
『……あ、そういえば、あの子、朝からサンタさんに会うでごぜーますって言って聞かなかったわね』
『普段は君と一緒に寝てるあの子が、今日に限ってこうとはなぁ…… いっそのことサンタ服でも買ってくればよかったかな?』
『冗談言ってないで、何か考えましょうよ。あなたもなんとか帰ってきたはいいけど、また朝になる前に出発しなきゃいけないんでしょ?』
『……あぁ、あと数時間もないな。むむむ……』
どうやら仁奈の両親らしい二人の話し声。
話しているのはたった窓一枚隔てたところのようなので、しっかりと内容まで耳に入れることができた。イヴにも同様に聞こえているだろう。
「仁奈のご両親か。私たちと同じく『起きてる子』に手を焼いているようだ」
「うわぁ〜…… お父さん、いらっしゃるんですか〜?」
「そのようだが、何か問題が?」
家の中の二人に存在を悟られないよう、慎重に、音を立てずにイヴの方を向く。
すると、イヴが合わせた手で口を隠し、驚いた様子を伝えてきた。
その様子から察するに、それは仁奈のお父さんが居ること自体についての驚きらしい。
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