51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 13:51:52.40 ID:c0RIlJVf0
お待たせしました、完成したのでこれより投下します
板の仕様を理解せずsageていたり誤字が多かったりと見苦しい点も多々ありますが……
適宜脳内変換しつつ、気軽にお読みいただければ幸いです
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 13:57:00.48 ID:c0RIlJVf0
通りを越えて帰ってくると……ビルの上から微かに、口ずさむような歌声が聞こえた。
屋上で聞いたあの電話とは違い、今度は英語なので、私の耳にもごく自然に届く。
「Hark how the bells……sweet silver bells…… 鐘のキャロルか。イヴが歌っているんだろうが、下まで聞こえているのはいかがなものかね」
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 13:59:30.85 ID:c0RIlJVf0
45
ここの屋上も当然雪が積もっており、直接座ったりするのもはばかられる。
どうしようかと迷ったものの、事務所を出る前と同じくブリッツェンに寄っかかりながらのお喋りで落ち着いた。
私がホットぶどうを軽く振り、封を開けるかたわら、イヴは渡したおしるこを早々に飲みきる。
今はあまざけを開けてちびちびと口にしつつ、ソリの座席に腰を下ろしていた。
54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:07:07.92 ID:c0RIlJVf0
「私、このプロダクションに入るまでパソコンとかよく分からなかったんですよ〜」
「だからMDを使っていた、と」
「当時はそれぐらいしか使い方が分からなかったので〜。あ、今はいろんな人に教えてもらったりして、ふつうの音楽プレーヤーも使えるんですけどね〜?」
イヴがプレーヤーからMDのカートリッジを取り出し、私に渡してくる。
55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:11:59.21 ID:c0RIlJVf0
イヴに渡されたMDに少し興味が沸いたので、プレーヤーを貸してもらった。
全部聞いているわけにもいかないので、飲み物で口を潤しながら流し聞きする。
知っているままの曲もあれば、独特なアレンジが加えられた曲もありと、コンスタントに楽しめる曲集になっていた。
だがそれが最後の曲に差し掛かると……どうにも他の曲と雰囲気が違うような感じがする。
56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:17:20.17 ID:c0RIlJVf0
しかし、聞いていると歌声などはないものの、明らかに曲調は伴奏と言った風で、あるべきはずの歌だけがそこにないという感じがした。
音質も妙に悪く、砂嵐のようなサーという音が常につきまとう。
「これはインストルメンタル…… いや、どちらかといえばカラオケ版だな」
「あ、最後の曲ですか〜?」
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:22:09.85 ID:c0RIlJVf0
「……でも実を言うと私も、この曲の原本があるなら聞いてみたいんですよ〜」
「それはまぁ、正体が分からないというのもむずがゆいものな」
「ですね〜。でも、それだからいい、って部分もあるんです〜」
「分からないから、良いと?」
58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:25:45.93 ID:c0RIlJVf0
「……よくよく、君のために尽くしてくれているな。この曲は」
「はい〜、一粒で何度もおいしいってやつですね〜」
「……ん? そ、そんな例えでいいのか?」
「あ、あれれ? 何かおかしかったですか〜?」
「いや……そうだな。これも『君らしい』というやつかもしれない」
59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:31:10.36 ID:c0RIlJVf0
ソリに乗って街の上を進むのにも慣れたもので、周囲の様子をじっくり観察するくらいの余裕も、既に私の中に生まれていた。
ふと空を見れば雪が止んでおり、4分の1程度が欠けた月が空に浮かんでいるのが、雲間にはっきりと見えた。
そういえば、のあさんがスケジュールの確認をしながら、今月の満月は28日だと言っていたのを思い出す。
それを考えると、今の月は結構明るい方なのだろうか。
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:37:21.38 ID:c0RIlJVf0
「去年はこういう『着地場所がないな〜』って時に、ほんの一瞬だけ目立つところにソリを止めちゃったんですよ〜。でも、今年は同じ間違いはしません〜!」
「なるほど、その教訓を生かして……ここか」
庭のある家などは少なく、背丈もそう高くない一軒家。それらがほぼ密接した塀でかろうじて区分けされているこの地域。
そんな中でイヴがかろうじて見つけた、人の手が届かず、どうにかソリとブリッツェンを待機させられる場所。
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