87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/29(土) 22:15:33.57 ID:3mvhgf9F0
「あ、木場さんおはようございます!今朝誰かがここでケーキを作ってたみたいなんですけど、何か知りませんか!?」
「……サンタさんが勝手に作って食べちゃったんじゃないかな」
「は、はい!?」
階を上がっていくと、ちょうど3階の階段でかな子に出くわし、いきなり食って掛かられる。
ケーキを作れる材料と設備を事務所に置いておいたのが運のツキだ。
私の中で罪悪感が頭をもたげないでもなかったが、今は罪悪感さんには休暇を取って貰うことにした。
どきりとした様子のかな子には申し訳ないが、木場サンタさんに秘密を聞かれてしまったのだから仕方あるまい。
まぁ、イヴが起きたらケーキをお裾分けしてもらえばいいだろう。
「幸子ちゃんも泣いてたし、私も泣きそうだし、今日の事務所はなにかヘンです!」
「あぁ、私もそう思――」
「だ、誰が泣いてるって言うんですか!ボクは至っていつも通り幸せに生きてますよ!」
「――下りてきたのか」
「あ、幸子ちゃん、無理しなくても……」
「嬉し涙は泣いてるうちに入りません!こんなに幸せなら目を赤くしないほうが無理ってもんです!」
「え? 嬉し涙だったの?」
事務所がヘンというのは誰よりも強く頷ける。なにせヘンなことの原因はすべて私とイヴだ。
今幸子が幸せすぎてハイになっていることすら、間接的には私たちのせいといえる。
しかしまぁ、2階より下は静かだし、もう特にかな子の言うヘンなことは起こらないだろう。
そういうわけで、私がこれ以上ここに留まる理由も無い。
そう思ってまた上の階へと体を向けると――昨日とは違う、狼のきぐるみを着た仁奈が立っていた。
「かな子おねーさん、幸子おねーさん……二人はさっき会ったですね。真奈美おねーさん、おはようございますです」
「あぁ、おはよう」
「みなさん、4階はイヴおねーさんが寝ていやがりますから、しーっ、ですよ」
「ふむ、彼女も昨晩は仕事で忙しかっただろうしな」
「そうですそうです…… あれ、なんで真奈美おねーさんが知ってるですか?」
「……ん? サンタさんがクリスマスイヴの夜に忙しいのは当たり前じゃないか?」
「……そうでした」
「だろう」
どうやらワイルドな着ぐるみをもってして、4階まわりでうるさくしている者を注意しているようだ。
しかし私もずっと4階にいたのだが、降りてくるときに仁奈の姿など見ただろうか?
……そういえば、レッスンルームを出たとき一瞬、テラスに姿が見えたような気がする。
いつもは元気な仁奈がぽつんとテラスにいる光景を少し不思議に思いながら、私と仁奈は4階へと上がった。
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