9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:55:32.74 ID:ciVG5wjy0
テラスを離れ、そろそろ帰ると言う瞳子さんから鍵を受け取った。
「えっと、レッスンルームの鍵は預けちゃっていいのね?」
「あぁ大丈夫だ。この鍵束に返せばいいんだろう?」
「ちひろさんから借りた時にそこから出してたから、間違いないと思うわ」
差し込んだ鍵をくるりと回し、扉を引っ張る。しっかり鍵のかかったことが確認できた。
しかし、二人して暗くまとまらない考えごとをしていたからか、どうも気まずい雰囲気だ――
「む……? なかなか、難しいな……」
――そのせいなのかどうなのか、鍵を束に戻そうとしても、なかなかどうして束の中に入っていかない。
しばらくカチャカチャと苦戦したところで、目の前で微かに笑う瞳子さんとふと目が合う。
……なにやら無性に恥ずかしいような、決まりの悪いような気がしたので、私は鍵を束に戻すのを諦め、まとめて乱暴にポケットに押し込んだ。
「ふふ、手先はあんまり器用じゃないのね?」
「う、うるさいな。寒くて手がかじかんでいるだけだ」
「本当?」
「本当だとも」
この後、いつの間にか首を傾げぽりぽりと頭をかいていた私は、なおのこと瞳子さんにからかわれることとなった。
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