12: ◆2gMnW4GmGpwP[saga sage]
2013/01/02(水) 21:32:55.49 ID:pFmTOgpm0
勇気を与えられたわたしは更に続く路を進んで行きます。
次に見えたのは濃紺の屋根を持つ建物が見えてきました。
童話に出てくるような造りの大きなお城です。
扉の全貌が見える位置で見上げると、顔を限界まで上げなければ天辺が見えないほど大きなお城でした。
「ふぇ〜?」
圧巻な城にわたしは間の抜けた声を上げてしまいます。
こんな大きな城の存在に近づくまで気づかないなんて…本当に不思議な世界です。
「……ふふふっ」
呆然と城を見上げていると、背後から忍び笑いが…どこかで聞いたことのある声でした。
「可愛い顔ね、まどか」
囁くような優しい声で呼び掛けられました。
……え?
まさかと思いつつ、振り向きます。
「ほ…ほむらちゃん!?」
そうです。そこに居たのは先程別れた筈のほむらちゃんでした。
違うのは眼鏡を掛けていない、わたしが一番見慣れた姿であるということだけです。
驚くわたしに笑みを零してから、視線を橋のあった方角に向けるほむらちゃん。
自身の流れる髪に手を添え、軽く髪を梳きます。
「あなたがここに居るってことは…あの子は上手くやったようね…」
そう呟くほむらちゃんは少し寂しそうです。
繰り返す時間の中で、最も多くほむらちゃんが浮かべていた表情でもありました。
「…もしかして、さっきとは違うほむらちゃんなの…?」
雰囲気も橋の前で会ったほむらちゃんとは違います。そう考えるのが自然でした。
「ええ」
わたしの言葉にほむらちゃんは頷きます。
どうやらこの世界には、何人もほむらちゃんが存在しているようでした。
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