過去ログ - ほむら「あなたにもう一度」
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6: ◆2gMnW4GmGpwP[saga sage]
2012/12/31(月) 06:42:17.22 ID:gMATEm4b0
「もう時間がないみたい…鹿目さんこっちに来て」

 真剣な表情でわたしの手を引くほむらちゃん。

 わたしはふわふわと宙に浮いた状態で付いて行きます。

 そうやって連れて行かれたのは、赤青黄の三色で彩られた繊細なデザインの長い長い吊り橋でした。

 僅かに強く握ってから、静かにほむらちゃんの手がわたしから離れます。

「…ほむらちゃん?」

 わたしは振り返り、少し下がったほむらちゃんを見ます。

 離れるほむらちゃんの手がまるで消え入りそうで…とても不安になったのです。

 そんなわたしをほむらちゃんは寂しそうに見詰めていたのでした。

「この先は鹿目さんしか進めないの」

 私だけ…?折角ほむらちゃんと会えたのに…

「…怖い?」

 ほむらちゃんが心配そうに訊くので、視線を吊り橋に戻し観察します。

 橋の下は深くて真っ白でしたが、不思議と怖くありません。

「ううん。平気だよ。でも…」

 どうしても行かなければいけない…。そんな気がしています。

 だけどそれはほむらちゃんを置いていくということで…。

 その事実が辛くて尻込みしてしまいます。

「鹿目さん…代わりにこれを…」

 ほむらちゃんは目の前で三つ編みを解き、留めていた紫のリボンを渡しました。

「いいの…?」

「…うん。持っていて欲しいの」

 そう言ってわたしにリボンを握らせます。

 ほむらちゃんが着けていたリボン。…それはとても嬉しいなって思うのでした。

「分かった…。ありがとう、ほむらちゃん」

 わたしが笑ってお礼を言うと、ほむらちゃんも笑ってくれます。とても嬉しそうです。

 もっとこの笑顔を見ていたい…。もっともっと傍で笑い合いたい…そう思います。

 でもそんな時間はほむらちゃんの言葉で終わりを告げました。

「鹿目さん…もうそろそろ時間が…」

 名残惜しくても、離れるのが辛くてもわたしは行かなければならない…ようです。

 まだ躊躇いがちなわたしを動かし、優しく背を押してくれるほむらちゃん。
 
だからわたしは少し進んでから振り返り、できるだけ笑顔で手を振ります。

「ほむらちゃん…またねっ!」

 また会えるよね!?そう信じて…信じるためにそう叫ぶました。

 そんなわたしにほむらちゃんも優しい笑みで振り返してくれて…泣き出しそうになりました。

 だけどそんな姿を見せたらほむらちゃんが心配しちゃうから…振り切るように駆けるような速さでわたしは橋へと向かうのでした。


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