5: ◆2gMnW4GmGpwP[saga sage]
2012/12/31(月) 06:39:40.98 ID:gMATEm4b0
わたしの問いかけに、少女が穏やかな微笑みを零します。
先程まで深い悲しみを湛えていた少女とは思えないほど穏やかで、慈愛に満ちた微笑みです。
そっと彼女の顔が近づき、唇がわたしに触れます。
するとどうでしょう…。
わたしの中に存在していた雑多の情報が削ぎ落とされ、わたし自身と親和性の高い情報だけが残ります。
珠の光は強くなり姿を人型へと変えていくと同時に、一部がほむらちゃんへと流れ込んでいきます。
発光が収まった頃には、長い桃色の髪のサイドに白いリボン、白いドレス姿のわたしがいたのでした。
「…んっ」
両手に伝わる他者の胸の鼓動。しっかりとわたしを抱き締める両腕。そして唇には僅かに湿っていて柔らかい感触。
忘れていた感覚にわたしは眼を開きます。
そこには瞼を閉じたほむらちゃんの顔が…
………。
……。
…って…ええええええええーーーー!?
今の状況を理解して混乱してしまいます。
なんと今のわたしはほむらちゃんの胸の中に居るだけではなくて…〜っっ
「っ…んんっ?」
ほむらちゃんが顔を傾け、わたしたちの唇が深く…。
ってわたしどうしたらいいのかな!?
心臓をバクバクと鳴らしながら見つめていると、ほむらちゃんの瞼が開き、至近距離で視線が合います。
「………」
暫しの停止。そして気づいたのか、ほむらちゃんは一瞬で赤面してわたしから離れ、俯いてしまいました。
「…ごめんなさい…っ」
申し訳なさからか、恥ずかしさからか…それとも両方なのか…ほむらちゃんは涙目で頭を下げていました。
「あ…うん。大丈夫だから…ね?」
一体何が大丈夫なのかは自分でもわかりませんが、ついそう返してしまいます。
謝られたことに関して、少し胸が傷んだのはどうしてでしょうか…?
自分の胸を抑えた時に、わたし自身の変化に気づきました。
「え…?」
驚いて自分の体を見渡します。手袋に覆われた両腕。身に纏う白いドレス。長い桃色の髪。
それは概念化した鹿目まどかの魔法少女姿で…。
「どうして…」
概念として宇宙に溶け込んだはずなのに、いつの間にか自我も戻っています。
本来ならありえないはずでした。
「鹿目さん綺麗…」
ほむらちゃんが少しうっとりとしています。
「あ…ありがとう」
とても懐かしい姿のほむらちゃんに言われると、とても照れます。
そんな嬉しいような痒いような時間を過ごしていると、ふとわたしを見詰めていたほむらちゃんから表情が消えました。
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