過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)3
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6:廃墟の雨(お題:デモンストレーション)2/4  ◆/xGGSe0F/E[saga]
2013/01/03(木) 23:25:12.18 ID:Wr5rxJeJ0

 父は早速信頼できる建築家たちを呼び寄せ、廃墟を建設するために各方面に申請をすることにした。しかし勿論、申請を
受ける立場の彼らはお役所仕事をする人々であり、頭が固いことが仕事であったから、廃墟を建てることなど認めはしなか
った。
 以下の文が、彼らの見解だ。
 ――基本的に、景観を著しく損ねる建物を建設することは認められません。新築であるのに窓ガラスが割れていたり、一
部の部屋が崩れてしまっていたり、ライフラインが整備されない家と言うのは論外です。建てることは認められません。
 息子の僕が言うのもなんだが、彼らの主張はとても正しいものだった。多数的で、社会常識に適っていて、至極正論だった。
 勿論父としては、彼らがそんなことを言うとは思っていなかったらしく、彼らのその言葉に怒り狂った。
 父は、彼らと徹底的に戦うことを決めた。
 デモンストレーションをすることを決めたのだ。
 ちなみに、デモンストレーションには大きく分けて二つの意味がある。
 ――一、抗議や要求の主張を掲げて、集会や行進を行い、団結の威力を示すこと。示威運動。
 ――二、宣伝のために実演すること。
 この二つの意味の内、どちらを父が実行したか。
 答えはもちろん、
 二つとも実行した、だ。
 まず廃墟マニア仲間を集めて、父たちはデモ行進を行った。父がデモを行ったその時代、つまり二〇一二年は、ネット規
制をされた現代とは違い、多くの人がインターネットを嗜んでいた。彼らは面白いことがあるとすぐに飛びついて、その情
報を拡散したり、自らのブログに書き込んだりしていた。
 勿論、廃墟を立てたいと言う父の(馬鹿げた)行為は、ネット住民たちの格好の餌となり、面白がった彼らによって「廃
墟を立てたいって男がデモ行進してるぞwww」などと言う感じで、日本中に父の行為が広められる結果となった。
 それは、しかし思わぬ効果を生んだ。多くのネット住民が(大半は周りに合わせたり、面白がってだろうが)父に味方し
て、日に日にデモの人数が増えていったのだ。そして各地で同じようなデモが行われることとなった。それは社会現象とな
り、情報番組などでも話題にされるまでになっていた。彼を擁護するコメンテーターまでもが多くあらわれた。
「彼のこの行為は、現代文化への警鐘なのでは、と私は思うんですね。不景気な現在、無意味に多くの似たような施設が立
ち、商店街を風化させたり、また個人の便利な暮らしのために建てられた建物に、税金が使われたりしている。
 そんな中で街中に、廃墟を建てる。これは、お前らがそういう物を建てるのなら、俺だって意味のない廃墟という建物を
建てていいだろう? つまりデモを行う彼は、現在に次々と建てているのは、廃墟同然のゴミみたいな建物だって言ってるわ
けですね。だったら最初から廃墟を建ててやろうじゃないか、と考えているのではないでしょうか。
 これはある意味で、芸術的ですよね。もしかしたら、流行るかもしれませんよ。廃墟を建てることが。そこに住む人だって
現れるかもしれない」



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