過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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32: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:41:37.70 ID:wOPwqajX0
そして、運命が流転する。
翌日のほむらの転入。マミと鹿目まどかと美樹さやかの接触。詳しくは聞かなかったが、あまり良い接触にはならなかったようだ。いつもと変わらぬ無表情のほむらが暗く見えるのは、見間違えではなかった。押し殺したような声でネミッサを追い出した。ネミッサは泣いているものだと思ったが、どうやら歯を食いしばり悔しさをこらえているようだった。その状態でも涙一つ流さない姿に肩を抱いてあげたくなるほどだった。だが、それをほむらは求めない。欲しがらない。ただひとつ、自分の望むもののため自分すら偽っているのだから。
おさげ髪の眼鏡をかけた少女は泣いていた。ただはらはらと涙を流すほむらの幻が、ネミッサには見えた。

「涙に逃げないホムラちゃんの代わりにアンタが泣いてるのね。どれだけ強いの。何がそこまでさせるの?」



「魔法少女体験ツアー?」

鸚鵡返しに返事をする。我ながらアホみたいだと、ネミッサは自嘲した。連絡を受け呼び出されると二人の少女に引き会わされた。マミに後輩だと紹介された二人の少女の前で。二人には「長期滞在で観光してる変な外国人」的説明しをしてもらった。というか、マミにもそれに類する話をしていたので特に食い違うことはなかった。銀髪が珍しいのか二人には遠慮無くいじられた。まあ、いつものことだ。
あのあと、マミとQBから説明を受け、魔法少女について詳しく知った。ほむらから詳しく聞いていない部分を聞いた形だ。ネミッサ自身に魔法少女になるに関心が薄かったため、あまり問いださなかったせいだろう。三人には話せない本質的な『魔法少女の真実』について聞かされただけだ。
魔法少女は魔力をもって魔女と戦うものだということ。ソウルジェムという宝石がその魔力の源だということ。その宝石が魔力を使うごとに濁ること。その濁りを取るために魔女からグリーフ・シードを手に入れないといけないこと。そして、肝心なことを説明されなかったことも。二人も、同じ内容の説明をされていた。
二人は…いや、三人とも気づいているだろうか。魔女のグリーフ・シードとソウルジェム、『似通った性質のもの』だからこそ穢れが移せるということを。そしてそれがどういう意味をもつかを。

「ええ、魔女や使い魔と戦うことがどういうことか知っておいたほうがいいと思うの。だから、ね」

「危なくない? アタシ、正直荒事は自信あるよ。けど、この子たちはフツーの子でしょ。大丈夫?」

「ええ、私が責任をもって守るわ。もちろん、ネミッサのこともね」

自分のカミングアウトのタイミングをすっかり逃したのが痛い。マミはまだネミッサを守るべき友人と捉え、守るつもりでいる。ツインテールの少女の鹿目まどかは心配そうな顔で、ネミッサと同じ髪型の元気な少女の美樹さやかは憧れに目を輝かせて話を聞いている。どうやらほむらが接触した際に、魔法少女の戦いを見てさやかのほうは感激してしまった。一方のまどかも憧れに近いものがあるが、どこか乗り気ではないのが見て取れた。ほむらの警告が効いているのだろう。昨日今日知り合った転校生の警告がなぜ効果があるのか、それが奇妙だった。

「でも、ほむらちゃんは反対してたよ、いいのかな」

「アタシも正直危ないと思う。攻めと守りを一人でやるのは忙しくなるよ。忙しくなるとどちらかが疎かになる」

「そうね、でも私もベテランだもの。鹿目さんも、美樹さんも、ネミッサも守り切る」

強い決意。それは事実を述べた以上に、宣誓の如きものだった。守り切るという誓いを立てたわけだ。その誓いをネミッサは美しいと思う。だが、それを貫かれるわけにはいかない。気高いマミの発言であるからこそ、向き合い戦わくてはならない。マミの誇り高い誓いと戦う。

「そんな宣言意味ないわ」

一瞬、マミの瞳が揺れる。驚きと、困惑、そして……。

「私が信じられないっていうのね」


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