過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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33: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:43:12.97 ID:wOPwqajX0
二人の間でおろおろするさやかとまどか。ネミッサの双眸が吊り上ったからだ。まるで喧嘩腰である。優しげなマミに対してする態度ではない。それだけ彼女がマミに対して真剣に向き合っているということだが、少女の二人にわかるわけがない

「全員が危なくなった時、マミちゃんなら私達を守ると思うのは疑ってないよ。でも、そのとき自分を守らないよねマミちゃんは。そうしたら、二人を誰が守るの?」

全員の言葉が詰まる。全員が全員、その予感がしたからだ。そうしかねない、そうなりかねない、マミの正義感は恐らくそうするだろうと。マミ自身がそう思うくらいだ。それは平時では美徳であるが、戦いの時は正しいとはいえない。特に、魔法少女を魔女の結界内で失うことは即ち全滅に繋がる。だから時に、自分の身を守り三人のうち誰かを見捨てる必要がでてくる。ネミッサはそう言っているのだ。誰を助けて、誰を見捨てるか。相棒はそれをきちんとわきまえていたように思う。時に冷酷にさえ見える行動は、全滅を防ぎ、目的を達成するための必要な選択なのだから。
以下略



34: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:45:03.94 ID:wOPwqajX0
「ごめんね、折角のツアーおじゃんにして」

マミの部屋からの帰り道、ネミッサは二人に謝罪した。

「んー、最初は気に入らなかったけどさ、いいよべつに」
以下略



35: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:46:05.41 ID:wOPwqajX0
「まってさやかちゃん。ネミッサちゃんは……」

「マミさんも騙されてるとしたら?」

ネミッサの視点に、さやかは言葉に詰まる。まどかも自分の心を言葉できず、混乱している。
以下略



36: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:47:01.92 ID:wOPwqajX0
ネットワーク潜入体験ツアー、天海市観光。
魔法少女候補生二人を連れて、ネミッサのツアーが始まる。つい先ほどあったにしてはずいぶん信頼されたものだが、ネミッサは上機嫌となっていて、そのあたりに気づいていない。ネミッサにしても二人が気に入ってしまったのでお構いなしだ。
二人がこうしてネミッサの発言を受けいれているのは、非日常が多すぎて混乱しているからだ。魔法少女、魔女、キュゥべえ、そして悪魔。一度にいろいろありすぎて処理がうまくいっていない。それでもネミッサ自身を受け入れたのは、マミへの心配が本気だと理解できたから。
契約の件ではまどかは消極的。さやかは比較的意欲を見せるが、それでもまだ揺れている。マミの手伝いをしたいというさやかの気持ち、それをネミッサが契約をしないまま直接手伝うようであれば無理な契約には至らないはずだ。それでなくても、平和に平凡に生きる人が無理に殺し合いに参加することはない。そういう荒事はそこに元々いる人か、そこに止む無く戦わざるをえない人以外するものではない。幸い、二人はまだ引き返せる。引き返させてみせる。

以下略



37: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:49:55.40 ID:wOPwqajX0
その港に停泊しているのは「ホテル業魔殿」と銘打たれた豪華客船だった。
ネミッサはともかく、中学生の二人は完全に気遅れている。初めて見るものにすっかり驚いていた。そんな二人の背中を押しつつ、気後れ一つせずネミッサがホテルに導く。見上げるほどの船体。その豪華客船全てがホテルとなっているという、まどかやさやかには想像もつかない世界である。お嬢様として名高い友人の志筑仁美、彼女の世界に近い。

「こんちはー、メアリ、いる?」

以下略



38: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:50:33.22 ID:wOPwqajX0
ちょっと得意げなネミッサに苦笑いの二人。豪華なティーカップの価値がわからないのか、ネミッサはぞんざいに扱っている。一方で中学生二人はカップを割らないようガチガチに緊張してしまっていた。
とその背後に、重そうな荷物を持つメアリが近づく。まどかは近づいてから気づいたが、メアリの肌が透き通るほど白く、その虹彩が赤いように見えた。いわゆるアルビノというものだろうか。アルビノという単語そのものを知らずにまどかはそんなことを思った。

「なんか、すんごい美人だよね、メアリさん」

以下略



39: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:52:48.49 ID:wOPwqajX0
二人を無事に送った後、託された思いを持ってネミッサはほむら宅へ移動する。今日の報告をするためだ。自然に動く足のまま、ふらふら漫然と歩く。歩いた道筋すら忘れるほど気ままに。まどか、さやかと仲良くなれたことで非常に機嫌が良くなっている。だから、ほむらの気持ちを考えずその勢いで訪ねてしまった。
ちゃんとチャイムを鳴らすまでは良かった。だが、ほむらが出迎えた時、挨拶もそこそこに話しかけたのがまずかった。

「ホムラちゃん、今日はマドカちゃんとサヤカちゃんと接触できたよ。なかなかうまく行っ……」

以下略



40: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:54:31.14 ID:wOPwqajX0
翌日、下校する二人を捕まえに、ネミッサは行動を開始した。にこやかに挨拶を交わす。
今日はさやかの幼馴染へお見舞いにいくという。ネミッサもそれに同行を申し出た。表向きはただの付き添いだが、実際には護衛だ。病院に魔女が現れることがわかっている以上、それをさやかが発見する以上、そばを離れる訳にはいかない。
さすがに病室に行くのは面識のある二人だけ、とおもいきや、お見舞い自体はさやかだけだった。まどかはさやかの幼馴染への恋心を理解しており、気を利かせたつもりだった。個室の前、廊下のベンチで二人腰掛けながら雑談を交わす。

「上条くんはね、バイオリンが凄く上手なんだけど、その左手を怪我しちゃったの」
以下略



41: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:54:58.29 ID:wOPwqajX0
見張るとは言え、やることはない。ネミッサにしてもさやかの護衛というだけで積極的に何かするわけではない。孵化したところで電撃をかますことも考えたが、マミに一般人を巻き込む云々などと言った以上到着を待ってからのほうがいい。そう判断した。

「ま、暫くは様子見ね。落ち着こうか」

「さすが悪魔ね、大胆というかなんというか」
以下略



42: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:56:04.80 ID:wOPwqajX0
そこはお菓子だらけの結界だった。お髭の結界しか知らないネミッサは周囲をキョロキョロ見回す。ポップなお菓子まみれの地獄絵図。天井からぶら下がる逆さ吊りの人間のようなオブジェには首がない。

「あいっかわらず悪趣味ねぇ」

インチキジャグラーだってもう少し洒落が効いていたようだが、この陰気な雰囲気が魔女の内面なのだろうか。それは同時に……
以下略



43: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:56:44.44 ID:wOPwqajX0
魔女の孵化とほとんど同じタイミングでマミは中心部に到着した。天井のお菓子の箱から溢れるように落ちてくる魔女。それは結界内にいる四人を殆ど見ずに結界内のお菓子を夢中で食べている。外見といいそれだけ見れば害意のなさそうではあるが、魔女は魔女である。マミにとって、魔法少女にとっては狩るべき対象だ。まさに、魔女狩り。
マミの心は軽い。マミの戦いは、一切見返りのないものだった。グリーフ・シードが時折手に入るくらいで、襲われている人々を魔女や使い魔から救い出しても、感謝の言葉一つない。魔女に魅入られた人は助けられても、魔女に操られていた時の記憶が無い。また、助けたのちに警察沙汰になればマミは説明するすべを持たない。黙って立ち去らざるを得ない。
彼女が魔法少女になったのは、交通事故に合い、死にかけたからだ。両親は即死、歪んだ車体に挟まれ彼女だけ重体。意識が朦朧とする中現れたQBとまさに『悪魔の契約』したのだ。『生きたい』と。結果幼い彼女は一命をとりとめ、遠い親戚を後見人としつつ、中学を卒業するまで、と見滝原に留まった。魔法少女として生きるために。
孤独だった。
その孤独の中で、理解者はQBだけだった。遺産を奪おうとする大人たちから世間に疎い少女を陰日向から守ったQBをマミは家族のように、そして救いの主のように思っている。QBだけが、魔法少女の生き方を理解し、その手助けをしてくれていた。
以下略



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