過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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36: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 15:47:01.92 ID:wOPwqajX0
ネットワーク潜入体験ツアー、天海市観光。
魔法少女候補生二人を連れて、ネミッサのツアーが始まる。つい先ほどあったにしてはずいぶん信頼されたものだが、ネミッサは上機嫌となっていて、そのあたりに気づいていない。ネミッサにしても二人が気に入ってしまったのでお構いなしだ。
二人がこうしてネミッサの発言を受けいれているのは、非日常が多すぎて混乱しているからだ。魔法少女、魔女、キュゥべえ、そして悪魔。一度にいろいろありすぎて処理がうまくいっていない。それでもネミッサ自身を受け入れたのは、マミへの心配が本気だと理解できたから。
契約の件ではまどかは消極的。さやかは比較的意欲を見せるが、それでもまだ揺れている。マミの手伝いをしたいというさやかの気持ち、それをネミッサが契約をしないまま直接手伝うようであれば無理な契約には至らないはずだ。それでなくても、平和に平凡に生きる人が無理に殺し合いに参加することはない。そういう荒事はそこに元々いる人か、そこに止む無く戦わざるをえない人以外するものではない。幸い、二人はまだ引き返せる。引き返させてみせる。



移動にはまどかの家のテレビを使った。地デジ対応であればパソコンである必要もない。むしろ現在ではあちこちにあるので移動には楽だ。
二人に外履きを持たせ、居間のテレビの前に起つ。不安げな二人の手を取り、にこやかに微笑む。安心させるためだ。

「だーいじょうぶ。二人にもアタシにも危険はないから」

「へへ、でもどきどきしてる。どうなるんだろう?」

「まどかは変なところで度胸あるからねー。私も平気だよ」

「んじゃしゅっぱーつ」

三人の体が光りに包まれ、光そのものになると、球体に形を変える。一度ふわりと天井まで上がると大きく円を描くようにテレビ画面に飛び込んだ。
情報のトラフィックが流星のように光り流れる電脳世界に三人はいた。傍目から見れば全身が光り輝いて見えるだろう。さやかは青、まどかは桜色。

「なんだかへんな気分だね」

「こう、体が軽いというか、重さがないというか」

「ほとんど魂だけの状態だからね。気持ちが不安定になると維持しにくいから、気をつけて」

「うへ、そんなこといまさら言わないでよ」

「へーきへーき、最悪手を離さなければ問題無いって」

そんな気楽な会話を続けながら、一つの窓に近づく。

「外、でるよ。気を楽にねー」

ネットワークから出た三人は、その足でホテルに向かう。全く別の街に転移したことに驚きを隠せないまどかとさやかはキョロキョロし続けている。

『情報環境モデル都市』として15年ほど前に開発が行われた天海市。都市全体をネットワークで結び、各家庭にパソコンを常備することで、行政を含めたあらゆるサービスがネットワーク上でやり取りが出来ることを目的とした開発だ。多くの人の関心を集め、国や自治体、大企業を巻き込み進められた開発だったが、これには裏があった。ネットワークを介しアクセスした人々の魂を集める目的で、エグリゴリの大悪魔が主体となって活動を行なっていたのだ。これに成功すれば日本中、世界中の魂を一箇所に集めることができるシステムが出来上がる。その根幹にあったのがマニトゥと呼ばれる。ネイティブ・アメリカン土着の精霊、異界の魂であった。
だが、ネイティブ・アメリカンの戦士レッドマンが死後も魂となって、マニトゥを見守っていた。無差別に魂を集めるマニトゥの危険性をいち早く察した彼は、ある行動をとった。本来死の概念を持たないマニトゥから分離し人間の間を生きることで「生と死」を学ぶネミッサを生み出した。
それがマニトゥに「死」を伝え、マニトゥは滅びその計画は壊滅した。そのときネミッサとともに戦ったのが若きサマナーと、スプーキーズというハッカー集団だった。そしてその戦いは、大きな犠牲を払いつつもネミッサたちの勝利に終わった。
結果、計画していた大幹部たちの撃破され、マニトゥは消滅し計画は壊滅。それに伴い、主導をしていた企業も倒産した。そのため、天海市は人口が大きく減り、ゴーストタウンの様相を呈するようになった。ただ、それが今では人口が戻りつつあるようで、それなりの活気は戻っていた。
多少端折つつも、二人に説明を行った。自治体を巻き込んだ陰謀に二人はすっかり驚いて信じられないようだが、ネミッサがそんな途方も無い嘘をつく理由がない。

「なんか、魔女より悪魔のほうがあぶないんじゃないかな」

「組織立って動くから、規模はどうしても大きくなるね。でも、ちゃんとそういうのに対抗する組織ってのもあるから」

「なんか、身近に悪魔がいるほうが怖いよ」

「へーきへーき、んなことより交通事故に気をつけて。そっちのほうがよっぽど確率高いよ」

そんな論法で話を締めくくった。確率統計の話でまとめても中学生にしても納得できるはずがなかった。怖いものは怖いのだ。



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