160:絶ゴミ112 ◆59WingzUMY[saga]
2013/03/23(土) 23:22:20.32 ID:qgxOzbDG0
「甘い!」
由羅はトラックの荷台から運転席の後ろへ、車の外壁を突き抜けて腕を伸ばし、
運転をしている男の頭をつかんだ。
「う、うわぁ!?」
運転手も助手席の男もホラー映画のような光景に圧倒されて冷静さを失った。
当然ながら運転が狂い、トラックは道を外れて森林の中を突き進んだ。
「たむろくん、ゴミポートで追えるか?」
「もちろん!」
皆本の問いに、たむろは威勢よく答えるとその辺のゴミを使って瞬間移動した。
「あ、ちょっとまって! 僕も一緒に……」
皆本がそう言った時には既に時遅し、たむろの姿は消えていた。
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「馬鹿、このままじゃ樹海に突っ込んじまうぞ!」
トラックの荷台に現れるなり開口一番、たむろはそう言った。
「誰がバカよ! こいつら逃がすわけにはいかないでしょ!」
由羅は運転手の頭をつかんだままそう答えた。
「とりあえず先に車を動かないようにして――」
そんな言い争いをしている、その隙だった。
助手席の男が、『ミスター・ブー』を由羅の頭に命中させた。
「あ、しまっ……」
由羅の力はみるみる弱り、頭を掴んでいた腕はあっさりと運転手に払いのけられた。
「まずい、逃げろ!」
反撃されるより早く、たむろはとっさに、由羅を突き飛ばした。
由羅の体はトラックから落ちて、落ち葉やコケの積み重なる地面に落下した。
「え? ちょっと、たむろ!?」
驚いた由羅がそう叫んでいる間にも、トラックは猛スピードで森の中を進む。
呆然と立ち尽くす由羅をよそに、トラックとたむろの姿は森の奥へと消えていった。
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