171:絶ゴミ119 ◆9ykK02ROec[saga]
2013/04/29(月) 23:41:54.41 ID:lAzAdbvB0
「象でも出ない限り、安心ということだね」
「ハハッ、グリシャムさん、日本に象はいませんよ」
グリシャムの言葉に、背古井は余裕を持って笑って見せた。
「いない……はずよね?」
ふと、紫穂が立ち止まった。
そこには、ちょうど小さなくぼみがある。
「どうかしたのかい?」
皆本が聞くと、紫穂はゆっくりと口を開いた。
「私の超能力の暴走かしら?
このくぼみが象の足跡だって透視されちゃうんだけど……」
「まさかそんなことがあるはずが――」
背古井がそう言った時だった。
彼らの前から巨大生物としか思えない、
ズシンズシンとした重い足音が聞こえてきた。
「せやったら、アレはなんや?」
葵が指差した森の奥に、灰色の巨体がうごめいている。
「催眠や幻覚ではなさそうだね」
グリシャムの言うように、その巨体は幻ではないのだろう。
周りの細い木をなぎ倒しながら、一行に近づいてきた。
「――紛れも無くゾウ! なんで? じーちゃんが言ったから?」
はっきりとその姿を現した巨体に、薫が叫ぶ。
「まさか、そんなわけあるか!」
そう答えはしたものの、皆本にも何でここに象がいるのか分からない。
「眼帯……? あの象、誰かが飼ってたんだわ」
目ざとく、象の目に眼帯を見つけた由羅が言った。
そうして騒がしくしゃべる一行を、眼帯を付けた象は見下ろした。
「ガン付けです、みなさん、視線をそらして!」
あわてて背古井が叫ぶ。
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